滋賀県選挙管理委員会の委員長以外の委員について月額報酬を定める滋賀県特別職の給与等に関する条例(昭和28年滋賀県条例第10号。平成23年滋賀県条例第17号による改正前のもの)4条,別表2の規定は,地方自治法203条の2第2項が滋賀県議会に与えた裁量権の範囲を超え又はこれを濫用したものとして違法,無効であるとはいえない。 (補足意見がある。)
滋賀県選挙管理委員会の委員長以外の委員について月額報酬を定める滋賀県特別職の給与等に関する条例(昭和28年滋賀県条例第10号。平成23年滋賀県条例第17号による改正前のもの)の規定と地方自治法203条の2第2項
地方自治法203条の2第2項,地方自治法242条の2第1項1号,滋賀県特別職の給与等に関する条例(昭和28年滋賀県条例第10号。平成23年滋賀県条例第17号による改正前のもの)4条,滋賀県特別職の給与等に関する条例(昭和28年滋賀県条例第10号。平成23年滋賀県条例第17号による改正前のもの)別表2
判旨
普通地方公共団体の非常勤職員に対する月額報酬制の採用は議会の裁量に委ねられており、職務の性質、職責、勤務実態、人材確保の必要性等の諸般の事情を総合考慮して不合理と認められない限り、地方自治法203条の2第2項に違反しない。
問題の所在(論点)
地方自治法203条の2第2項ただし書に基づく、非常勤職員への月額報酬制の採用に関する議会の裁量権の範囲とその限界。
規範
地方自治法203条の2第2項ただし書は、非常勤職員の報酬制度について地方公共団体の議会に広範な裁量権を付与している。したがって、日額報酬制以外の報酬制度(月額制等)を定める条例が同項に違反し違法・無効となるかは、当該非常勤職員の職務の性質、内容、職責、勤務態様、負担、人材確保の必要性等の諸般の事情を総合考慮し、当該規定の内容が同項の趣旨に照らした合理性の観点から裁量権の範囲を逸脱又は濫用するものであるか否かによって判断すべきである。
重要事実
滋賀県の住民である原告が、県選挙管理委員会の委員(本件委員)に月額報酬を支給する条例規定は、原則として勤務日数に応じて報酬を支給すべきとする地方自治法203条の2第2項本文に反し無効であると主張し、公金支出の差止めを求めた。本件委員の平均登庁実日数は月1.89日であり、月額報酬20万2000円を日給換算すると国の非常勤職員の上限の約3倍に達していた。一方で、同委員会は独立した執行権限を持ち、専門性や公正中立性が求められる広範な職務を担っていた。
あてはめ
まず、職務の性質上、選挙管理委員会は独自の執行権限と最終責任を負う立場にあり、公正中立かつ専門的な人材を確保する必要性が高い。次に、勤務態様については、形式的な登庁日数以外にも、決裁文書の検討、緊急事態への対応、争訟の裁定(異議申出の処理等)のための準備、専門知識の習得といった実質的な勤務・負担が想定される。これらを総合考慮すれば、登庁日数のみをもって勤務の実質を評価することはできず、本件規定が同項の趣旨に照らして特に不合理であるとは認められない。
結論
本件条例規定は、議会の裁量権の範囲内であり、地方自治法203条の2第2項に違反しない。したがって、原告の請求を棄却する。
実務上の射程
行政委員会の委員等の非常勤職員に対する報酬形態の決定が、議会の政策的・技術的な判断(裁量)に属することを明示した判例である。登庁日数といった形式的事実だけでなく、職責の重さや潜在的な待機負担等を含めた「総合考慮」による判断枠組みを提示しており、住民訴訟における報酬適正化の争点において重要な基準となる。
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