死刑の量刑が維持された事例(大牟田の4名殺害等事件)
判旨
犯行態様が冷酷かつ非情で残忍であり、強盗殺人や口封じといった動機に酌量の余地がない場合、殺害された被害者の数(被告人Aが3名、被告人Bが4名)や犯行の社会的影響等の諸事情を考慮すれば、被告人らに反省の態度が見られる等の情状を十分考慮しても、死刑の選択はやむを得ない。
問題の所在(論点)
死刑選択の許容性(刑法11条、199条、刑訴法411条等)。特に、殺害人数が複数に及び、犯行態様が極めて残虐な事案における量刑判断の妥当性。
規範
死刑の選択に当たっては、犯行の性質、動機、態様(特に殺害方法の執拗さや残虐性)、結果の重大性(特に殺害された被害者の数)、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状を総合的に考慮し、罪責が極めて重大であって、罪罰の均衡および一般予防の観点からやむを得ない場合に限られる(いわゆる永山基準)。
重要事実
1. 被告人Aは、夫らと共謀し、現金奪取のため知人Dをワイヤー錠で絞殺し現金を強取した。さらに口封じ等のため、Dの長男G及びその友人Hを至近距離からけん銃で射殺し、死体を遺棄した。Aは直接の実行行為はしていないが、睡眠薬入りの弁当を準備し、実行犯を叱咤するなど積極的に関与した。 2. 被告人Bは、実兄Eと共謀し、Dの二男Fを絞殺した上で死体にコンクリートブロックを括り付けて川に投棄し(強盗殺人)、その2日後にAらと共謀してD、G、Hの3名を殺害した。Bは計4名の殺害を自らの手で行った実行犯である。
あてはめ
1. 犯行態様:二人掛かりで頸部を絞めた後にコンクリートブロックを結び付けて水没させる、ワイヤー錠で絞め続ける、至近距離から頭部や胸部を射殺するなど、強固な殺意に基づく冷酷かつ非情で残忍なものである。 2. 結果の重大性:Aは3名、Bは4名という極めて多数の尊い命が奪われており、結果は重大である。 3. 動機・役割:現金奪取や犯跡隠蔽のための殺害であり酌量の余地はない。Aは首謀的な立場で関与し、Bは直接の実行犯として枢要な役割を果たした。 4. 情状:捜査段階から犯行を認め反省を示している点は認められるが、上記各要素に照らせば、極刑を回避すべき決定的な事情とはいえない。
事件番号: 平成18(あ)417 / 裁判年月日: 平成20年2月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の適用は、事案の性質、犯行の態様・結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等を総合的に考慮し、その罪責が極めて重大であって、罪刑の均衡の観点からも、一般予防の観点からも死刑の選択がやむを得ないと認められる場合に限って許される。 第1 事案の概要:被告人は、暴力団…
結論
被告人両名の罪責は極めて重大であり、死刑に処した第1審判決を維持した原判決は正当として、上告を棄却する。
実務上の射程
多数の被害者を出した組織的な強盗殺人・殺人事件において、実行犯のみならず、現場で指示・督励した共犯者に対しても、その関与の積極性や結果の重大性を重視して死刑を肯定する判断基準として機能する。
事件番号: 平成20(あ)552 / 裁判年月日: 平成23年3月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】判例(最判昭和58年7月8日等参照)に基づき、死刑選択の許容性を判断する基準を提示する。 第1 事案の概要:本件において、被告人ら3名は、以前から人命を軽視するような生活態度をとっていた。本件犯行は、犯行の隠蔽や逃走資金の確保といった身勝手な動機に基づくものである。犯行態様は極めて残虐かつ執拗であ…
事件番号: 平成8(あ)826 / 裁判年月日: 平成13年9月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択が許容されるか否かの判断においては、犯行の罪質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等を総合的に考慮し、その罪責が誠に重大であって、極刑の選択がやむを得ないといえる場合に限られる。 第1 事案の概要:被告人は、交際相手への送金等の資金に窮し…
事件番号: 平成20(あ)808 / 裁判年月日: 平成23年10月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人A及びBの両名を死刑とした原判決は、その動機の身勝手さ、殺害態様の冷酷・非情さ、4名(B)及び3名(A)の殺害という結果の重大性、犯行における主導的・積極的役割に照らし、是認せざるを得ない。 第1 事案の概要:被告人A(暴力団の中心)は、金品奪取等のため妻や実子B、Gらを巻き込み、Dの殺害及…