いわゆるリボルビング方式の貸付けについて,貸金業者が貸金業の規制等に関する法律(平成18年法律第115号による改正前のもの。以下同じ。)17条1項に規定する書面として交付する書面に個々の貸付けの時点での残元利金につき最低返済額を毎月の返済期日に返済する場合の返済期間,返済金額等の記載をしない場合は,当該貸金業者は,同項に規定する書面には上記記載を要する旨を判示した最高裁平成17年(受)第560号同年12月15日第一小法廷判決・民集59巻10号2899頁の言渡し日以前であっても,利息制限法所定の制限を超えて利息として支払われた部分の受領につき貸金業の規制等に関する法律43条1項の適用があるとの認識を有することについてやむを得ないといえる特段の事情があるとはいえず,過払金の取得につき民法704条の「悪意の受益者」であると推定される。
いわゆるリボルビング方式の貸付けについて,貸金業者が貸金業の規制等に関する法律(平成18年法律第115号による改正前のもの)17条1項に規定する書面として交付する書面に個々の貸付けの時点での残元利金につき最低返済額を毎月の返済期日に返済する場合の返済期間,返済金額等の記載をしない場合,当該貸金業者は,最高裁平成17年(受)第560号同年12月15日第一小法廷判決・民集59巻10号2899頁の言渡し日以前であっても,過払金の取得につき民法704条の「悪意の受益者」であると推定されるか
民法704条,貸金業の規制等に関する法律(平成18年法律第115号による改正前のもの)17条1項,貸金業の規制等に関する法律(平成18年法律第115号による改正前のもの)43条1項,利息制限法(平成18年法律第115号による改正前のもの)1条1項,貸金業の規制等に関する法律施行規則(平成19年内閣府令第79号による改正前のもの)13条1項1号チ
判旨
リボルビング方式の貸付において、貸金業法17条1項所定の書面に確定的な返済期間・金額等の記載に準ずる記載をしない場合、最高裁平成17年12月15日判決以前であっても、特段の事情がない限り、貸金業者は民法704条の「悪意の受益者」と推定される。
問題の所在(論点)
リボルビング方式の貸付において、平成17年判決以前に17条書面の記載要件(返済期間・金額等)を欠いていた貸金業者は、民法704条の「悪意の受益者」と推定されるか。また、当時の裁判例の分立や行政通達の存在は「特段の事情」に該当するか。
規範
1. 貸金業者が制限超過部分を受領したが貸金業法43条1項(みなし弁済)の適用が認められない場合、同項の適用があると認識し、かつそう認識したことにつきやむを得ないといえる「特段の事情」がない限り、民法704条の「悪意の受益者」と推定される。 2. 貸金業法17条1項の趣旨は、借主が自己の債務状況を認識し返済計画を立てることを容易にする点にある。リボルビング方式において確定的な返済期間等の記載に準ずる記載をすることは可能かつ趣旨に沿うものであり、平成17年判決以前であっても業者において認識し得たといえる。したがって、下級審判例の分立や行政通達の存在があっても、上記記載を欠く場合に同項の適用があると認識したことに「特段の事情」があるとはいえない。
事件番号: 平成17(受)560 / 裁判年月日: 平成17年12月15日 / 結論: 棄却
1 貸金業者は,貸付けに係る契約の性質上,貸金業の規制等に関する法律17条1項に規定する書面に同項所定の事項について確定的な記載をすることが不可能な場合には,同書面に当該事項に準じた事項を記載すべきである。 2 貸金業者は,借主が借入限度額の範囲内であれば繰り返し借入れをすることができ,毎月定められた返済期日に最低返済…
重要事実
上告人は、被上告人等との間でリボルビング方式の継続的金銭消費貸借取引を行っていた。被上告人等が交付した17条書面には、平成16年9月まで次回の最低返済額と期限の記載しかなく、確定的な返済期間・金額等の記載(またはそれに準ずる記載)がなかった。本件取引は利息制限法超過により過払状態となっていたが、被上告人は「平成17年判決までは要件が不明確であったため、悪意の受益者ではない」と主張した。
あてはめ
被上告人らが交付した書面には、平成16年9月まで確定的な返済期間等の記載に準ずる記載が欠落していた。かかる記載がなければ借主は完済時期や債務の重さを把握できず、法17条1項の趣旨を達し得ない。このことは平成17年判決以前でも認識可能であった。当時の下級審判例や学説も適用の見解が多数派であったとはいえず、通達の存在を考慮しても、みなし弁済が適用されると認識したことに「やむを得ない」といえる特段の事情は認められない。よって、被上告人は悪意の受益者と推定され、その後の書面不備の解消後も、既に過払状態にある以上、利息発生の余地はなく悪意は否定されない。
結論
被上告人は過払金の取得につき民法704条の「悪意の受益者」にあたる。原判決を破棄し、被上告人の控訴を棄却する。
実務上の射程
貸金業法43条1項の「みなし弁済」適用の前提となる17条書面の不備と、民法704条の「悪意の受益者」の判定時期・判断基準を明確化した。特にリボルビング方式における記載義務の認識可能性を厳格に判断している。
事件番号: 平成17(受)1970 / 裁判年月日: 平成19年7月13日 / 結論: その他
1 貸金業者が返済方式を元利均等方式とする貸付けをするに際し,貸金業の規制等に関する法律17条1項に規定する書面に当たるものとして借用証書の写しを借主に交付した場合において,(1)当該借用証書写しの「各回の支払金額」欄に,一定額の元利金の記載と共に「別紙償還表記載のとおりとします。」との記載があり,償還表は借用証書写し…
事件番号: 平成18(受)276 / 裁判年月日: 平成19年7月13日 / 結論: 破棄差戻
利息制限法1条1項所定の制限を超える利息を受領した貸金業者が,その預金口座への払込みを受けた際に貸金業の規制等に関する法律18条1項に規定する書面を債務者に交付していなかったために同法43条1項の適用を受けられない場合において,当該貸金業者が,事前に債務者に約定の各回の返済期日及び返済金額等を記載した償還表を交付してい…
事件番号: 平成21(受)47 / 裁判年月日: 平成21年9月4日 / 結論: その他
貸金業者が借主に対し貸金の支払を請求し借主から弁済を受ける行為が不法行為を構成するのは,貸金業者が当該貸金債権が事実的,法律的根拠を欠くものであることを知りながら,又は通常の貸金業者であれば容易にそのことを知り得たのに,あえてその請求をしたなど,その行為の態様が社会通念に照らして著しく相当性を欠く場合に限られ,この理は…
事件番号: 平成18(受)1666 / 裁判年月日: 平成19年7月17日 / 結論: その他
貸金業者が利息制限法1条1項所定の制限を超える利息を受領したが,その受領につき貸金業の規制等に関する法律43条1項の適用が認められないときは,当該貸金業者は,同項の適用があるとの認識を有しており,かつ,そのような認識を有するに至ったことについてやむを得ないといえる特段の事情がある場合でない限り,民法704条の「悪意の受…