個品割賦購入あっせんにおいて,購入者と販売業者との間の売買契約が公序良俗に反し無効とされる場合であっても,販売業者とあっせん業者との関係,販売業者の立替払契約締結手続への関与の内容及び程度,販売業者の公序良俗に反する行為についてのあっせん業者の認識の有無及び程度等に照らし,販売業者による公序良俗に反する行為の結果をあっせん業者に帰せしめ,売買契約と一体的に立替払契約についてもその効力を否定することを信義則上相当とする特段の事情があるときでない限り,売買契約と別個の契約である購入者とあっせん業者との間の立替払契約が無効となる余地はない。
個品割賦購入あっせんにおいて,購入者と販売業者との間の売買契約が公序良俗に反し無効であることにより,購入者とあっせん業者との間の立替払契約が無効となるか
民法1条2項,民法90条,割賦販売法(平成20年法律第74号による改正前のもの)2条3項2号,割賦販売法(平成20年法律第74号による改正前のもの)30条の4,割賦販売法2条4項,割賦販売法35条の3の19
判旨
個品割賦購入あっせんにおいて、売買契約が公序良俗に反し無効であっても、販売業者とあっせん業者の関係、あっせん業者の関与度や認識等を照らし、立替払契約の効力を否定することを信義則上相当とする「特段の事情」がない限り、立替払契約は当然には無効とならない。
問題の所在(論点)
売買契約が公序良俗に反し無効である場合に、その無効を理由として、別個の契約である個品割賦購入あっせん(立替払契約)に基づく既払金の不当利得返還請求が認められるか。
規範
個品割賦購入あっせんにおける立替払契約と売買契約は、法的には別個の契約である。したがって、売買契約が公序良俗(民法90条)に反し無効とされる場合であっても、当然に立替払契約が無効となるわけではない。もっとも、①販売業者とあっせん業者との関係、②販売業者の立替払契約締結手続への関与の内容・程度、③販売業者の公序良俗違反行為に対するあっせん業者の認識の有無・程度等に照らし、販売業者の行為の結果をあっせん業者に帰せしめ、売買契約と一体的に立替払契約の効力を否定することを信義則上相当とする「特段の事情」がある場合には、立替払契約も無効となると解するのが相当である。
重要事実
販売業者(加盟店)は、いわゆるデート商法による威迫的な態度で、被上告人に対し市場価格10万円程度の指輪等を157万5000円で売り付けた。被上告人は同日、本件あっせん業者との間で立替払契約を締結した。その後、被上告人は約106万円を支払ったが、売買契約の公序良俗違反を理由に、あっせん業者の事業譲受人である上告人に対し、既払金の不当利得返還を請求した。なお、あっせん業者は契約締結時に電話で意思確認を行っており、当時、販売業者に関する苦情等は寄せられていなかった。
あてはめ
本件についてみるに、販売業者はあっせん業者の加盟店の一社にすぎず、両者に資本関係等の密接な関係はない(要素①)。また、あっせん業者は自ら電話で意思確認を行っており、手続を全て販売業者に委ねていたわけではない(要素②)。さらに、契約締結当時に苦情や公的機関からの指摘はなく、あっせん業者が公序良俗違反行為を認識していたとはいえない(要素③)。以上より、販売業者の行為をあっせん業者に帰せしめて立替払契約の効力を否定すべき「特段の事情」は認められない。したがって、売買契約が無効であっても立替払契約は有効であり、法律上の原因が欠けているとはいえない。
結論
被上告人の請求は認められない。売買契約が無効であっても、特段の事情がない限り立替払契約は無効とならず、既払金の不当利得返還請求は棄却される。
実務上の射程
割賦販売法30条の4第1項(支払停止の抗弁)は未払金の支払拒絶を認める規定であり、既払金の返還までを当然に認めるものではないことを前提に、不当利得返還請求の可否を「信義則上の特段の事情」の有無によって判断した射程を有する。
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