水産加工業協同組合は、その負担に同意した組合員以外の組合員から出資額を超えて経費以外の金員を徴収することはできない。
水産加工業協同組合が組合員から出資額を超えて経費以外の金員を徴収することの可否
水産業協同組合法19条4項,水産業協同組合法22条1項,水産業協同組合法96条2項
判旨
水産加工業協同組合において、組合員が出資額を超えて損失補てんのための賦課金を負担する義務は、定款所定の経費に該当しない限り、当該負担に同意した組合員以外の者には及ばない。
問題の所在(論点)
水産業協同組合法上の組合員が、定款所定の経費に該当しない損失補てん目的の賦課金について、総会決議のみを根拠に出資額を超えた支払義務を負うか。組合員有限責任の原則との関係が問題となる。
規範
水産加工業協同組合の組合員は、定款所定の経費を負担するほか、その出資額を限度とする有限責任を負う(水産業協同組合法96条2項、19条4項等)。したがって、組合が損失を補てんし存続を図るために、出資額を超えて経費以外の金員を徴収することは、原則として組合員有限責任の原則に反し、その負担に同意した組合員以外の組合員から徴収することは許されない。
重要事実
水産加工業協同組合(上告人)は、冷凍さんま等の買付けにより約1億4000万円の損失を被った。上告人は、この損失を補てんするため、総会決議に基づき、組合員一人当たり約500万円の特別賦課金を徴収することとした。しかし、組合員である被上告人は、当該総会決議において賦課金の徴収に反対した。上告人は被上告人に対し、賦課金の支払を求めて提訴した。
事件番号: 平成1(オ)297 / 裁判年月日: 平成5年9月21日 / 結論: 棄却
不法行為により死亡した者の得べかりし普通恩給及び国民年金(老齢年金)は、その逸失利益として相続人が相続によりこれを取得し、加害者に対してその賠償を請求することができる。
あてはめ
本件賦課金は、原審により上告人の定款に定める「経費」には該当しないと認定されている。また、組合員の責任は出資額を限度とする有限責任が原則である。本件において、被上告人は賦課金の徴収を決定した総会決議に反対しており、当該負担について個別に同意した事実は認められない。したがって、同意のない被上告人に対して有限責任の範囲を超えた金員を徴収することは、有限責任の原則に照らし認められない。
結論
被上告人は本件賦課金の負担に同意していないため、上告人に対する支払義務を負わない。
実務上の射程
社団法人格を持つ組合組織における「組合員有限責任の原則」を厳格に解釈した。総会決議であっても、定款の範囲外かつ出資額を超える義務を個別同意なく組合員に課すことはできない。答案上は、多数決による義務賦課の限界や、有限責任原則の例外が認められる範囲(全員一致の同意の要否等)を論じる際の根拠として活用できる。
事件番号: 平成11(受)743 / 裁判年月日: 平成14年4月25日 / 結論: 棄却
阪神・淡路大震災により被災した兵庫県司法書士会に3000万円の復興支援拠出金を寄付することは群馬司法書士会の権利能力の範囲内の行為であり,そのために登記申請事件1件当たり50円の復興支援特別負担金を徴収する旨の同会の総会決議の効力は,同会の会員に対して及ぶ。 (反対意見がある。)
事件番号: 平成21(受)1096 / 裁判年月日: 平成23年10月25日 / 結論: その他
個品割賦購入あっせんにおいて,購入者と販売業者との間の売買契約が公序良俗に反し無効とされる場合であっても,販売業者とあっせん業者との関係,販売業者の立替払契約締結手続への関与の内容及び程度,販売業者の公序良俗に反する行為についてのあっせん業者の認識の有無及び程度等に照らし,販売業者による公序良俗に反する行為の結果をあっ…