本案の裁判に対する上訴とともに訴訟費用の裁判に対し不服が申し立てられた場合においても、本案の裁判に対する上訴が理由のないときは、訴訟費用の裁判に対する不服の申立は許されない。
本案の裁判に対する上訴理由がない場合と訴訟費用の裁判に対する不服申立。
民訴法361条
判旨
本案の裁判に対する上訴とともに訴訟費用の裁判に対し不服が申し立てられた場合であっても、本案の上訴に理由がないときは、訴訟費用の裁判に対する不服申立ては許されない。
問題の所在(論点)
本案の裁判に対する上訴と併せて訴訟費用の裁判に不服が申し立てられた場合において、本案の上訴に理由がないときに、訴訟費用の裁判のみを独立して不服申立ての対象とすることができるか。
規範
本案の裁判に対する上訴と併せて訴訟費用の裁判について不服を申し立てる場合、本案の上訴自体に理由が認められることが、訴訟費用の不服申立てを審理・認容するための前提となる。したがって、本案の上訴が棄却される場合には、訴訟費用の裁判に対する不服申立ては独立して許容されない(民事訴訟法旧401条、現282条参照)。
重要事実
被上告人が上告人に対して本訴請求を行い、原審は被上告人の請求を一部棄却した。しかし、原審は訴訟費用の全額を上告人の負担とする裁判を言い渡した。上告人は、一部敗訴である被上告人に全額負担を命じるのは不当であるとして、本案の上訴と同時に訴訟費用の裁判について不服を申し立て、違憲・違法を主張した。
あてはめ
上告人は原審で撤回した抗弁を前提とする主張等を行ったが、本案の上訴理由(第一点および第二点の一部)は採用できない。本案の裁判に対する上訴が理由のないものである以上、これと併せてなされた訴訟費用の裁判に対する不服の申立ては、当裁判所の先例に照らし、許されないと解される。訴訟費用の負担割合のみを理由に憲法違反を主張する点も、前提となる違法性が認められないため採用の余地がない。
結論
本件上告は棄却される。本案の上訴に理由がない以上、訴訟費用の裁判に対する不服申立ては許されない。
実務上の射程
訴訟費用の裁判のみに対する独立の上訴を禁じた民事訴訟法282条(旧法当時の解釈)を補完する実務上の原則である。本案の勝敗が覆らない限り、訴訟費用の配分(裁量的事項)のみを理由に上訴を継続することはできないことを示しており、答案上は訴訟費用に関する不服の適法性を検討する際に引用すべき判例である。
事件番号: 昭和26(オ)892 / 裁判年月日: 昭和27年10月31日 / 結論: 棄却
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事件番号: 昭和28(テ)3 / 裁判年月日: 昭和28年12月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】高等裁判所が上告審としてなした終局判決に対し、最高裁判所にさらに上告(特別上告)をなし得るのは、当該判決の憲法判断の不当性を争う場合に限られる。単に「基本的人権の侵害」という文言を用いて手続規定の解釈を争うことは、正当な違憲の主張には当たらない。 第1 事案の概要:上告人は、高等裁判所が上告審とし…