判旨
高等裁判所が上告審としてなした終局判決に対し、最高裁判所にさらに上告(特別上告)をなし得るのは、当該判決の憲法判断の不当性を争う場合に限られる。単に「基本的人権の侵害」という文言を用いて手続規定の解釈を争うことは、正当な違憲の主張には当たらない。
問題の所在(論点)
高等裁判所が上告審としてなした終局判決に対し、最高裁判所へ再上告(特別上告)を行うための要件である「憲法適合性に関する判断の不当」の主張として、手続規定の違法を「基本的人権の侵害」と称して争うことが認められるか。
規範
高等裁判所が上告審として下した終局判決に対する最高裁判所への再上告(民事訴訟法旧409条の2、現行327条1項参照)において、適法な上告理由となるのは、判決における憲法解釈の誤りその他憲法違反の判断が含まれる場合に限定される。実質的に法令(手続規定等)の解釈を争うものでありながら、形式的に人権侵害等の憲法的表現を用いるだけでは、適法な違憲の主張とは認められない。
重要事実
上告人は、高等裁判所が上告審として下した終局判決に対し、最高裁判所にさらに上告を提起した。上告人は、原判決における手続規定に関する判断を不服として争う際、その主張の中に「基本的人権の侵害」という文言を用いていたが、実質的には手続法の解釈適用の当否を争うものであった。
あてはめ
本件の上告理由は、原判決における手続規定の解釈・運用を争う点にある。上告人は「基本的人権の侵害」という憲法的概念を冠した用語を使用しているものの、その実態は単なる手続規定に関する原判示の当否を争うものにすぎない。これは、最高裁判所への再上告において求められる憲法適合性判断の不当性を具体的に指摘するものとは評価できず、憲法違反の主張としては不適法であるといえる。
結論
本件上告は適法な上告理由を欠くため、棄却されるべきである。
実務上の射程
二審制の例外として認められる再上告(特別上告)の門戸が極めて狭いことを示す。答案上は、単なる法令違背を「憲法違反」と読み替えて上告理由とすることは許されないという、上告審の構造的限界を論じる際の論拠となる。
事件番号: 昭和28(オ)436 / 裁判年月日: 昭和29年12月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律に基づき、上告理由が法令の解釈に関する重要な主張を含まない場合には、上告を棄却すべきである。 第1 事案の概要:上告人が民事事件について上告を提起したが、その上告理由の具体的な内容は判決文からは不明である。最高裁判所は、当該論旨が特例法1条1号…
事件番号: 昭和31(テ)20 / 裁判年月日: 昭和34年2月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】高等裁判所が上告審として下した終局判決に対し、単に抽象的に憲法違反を主張するだけでは、適法な上告理由とはならない。 第1 事案の概要:上告人は、高等裁判所が上告審として下した終局判決に対し、憲法違反を理由として上告を提起した。しかし、上告人の主張は、原判決のどの部分がどの憲法条項に、どのような理由…
事件番号: 昭和26(テ)1 / 裁判年月日: 昭和27年6月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】高等裁判所が上告審としてした終局判決に対する最高裁判所への再上告は、憲法適合性の判断が不当であることを理由とする場合に限定される。 第1 事案の概要:上告人は、高等裁判所が上告審として下した終局判決を不服とし、最高裁判所に対して上告(再上告)を申し立てた。しかし、上告人が提出した上告理由書には、原…