判旨
高等裁判所が上告審として下した終局判決に対し、単に抽象的に憲法違反を主張するだけでは、適法な上告理由とはならない。
問題の所在(論点)
高等裁判所が上告審である場合の上告において、憲法違反を理由とする上告理由が「適法」と認められるための主張の具体性の程度。
規範
高等裁判所が上告審としてした終局判決に対する上告においては、憲法の解釈の誤りその他憲法違反を理由とする場合に限り許される。その際、憲法違反の主張は、判決のどの箇所がいかなる理由で憲法のどの条項に違反するかを具体的に指摘しなければならず、単に抽象的に違憲を主張するのみでは、適法な上告理由を構成しない。
重要事実
上告人は、高等裁判所が上告審として下した終局判決に対し、憲法違反を理由として上告を提起した。しかし、上告人の主張は、原判決のどの部分がどの憲法条項に、どのような理由で違反するのかを具体的に特定するものではなく、単に抽象的に憲法違反を述べるにとどまっていた。また、その余の主張は、事実認定の不当や訴訟手続の違法を指摘するものであった。
あてはめ
本件において上告人は憲法違反を主張しているものの、原判決の具体的な箇所や理由、対応する憲法条項の指摘が欠けている。このような抽象的な主張は、上告審としての憲法判断を求めるに足りる具体的な憲法問題の提示とはいえない。また、証拠の取捨選択や事実認定の非難、訴訟手続の違法等の主張は、そもそも憲法違反の主張には当たらない。
結論
本件上告は適法な理由を欠くため、棄却されるべきである。
実務上の射程
民事訴訟における特別上告や再上告において、憲法違反を形式的に掲げるだけでは門前払いされることを示す。具体的・個別的な適法要件の充足が必要であるという実務上の教訓となる。
事件番号: 昭和37(テ)12 / 裁判年月日: 昭和37年10月12日 / 結論: 棄却
民訴法第四〇九条ノ二第一項の規定は憲法第三二条・第一二条に違反しない。
事件番号: 昭和28(テ)3 / 裁判年月日: 昭和28年12月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】高等裁判所が上告審としてなした終局判決に対し、最高裁判所にさらに上告(特別上告)をなし得るのは、当該判決の憲法判断の不当性を争う場合に限られる。単に「基本的人権の侵害」という文言を用いて手続規定の解釈を争うことは、正当な違憲の主張には当たらない。 第1 事案の概要:上告人は、高等裁判所が上告審とし…
事件番号: 昭和29(テ)15 / 裁判年月日: 昭和30年7月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法違反を主張する上告であっても、その実質が単なる法令違反の主張にすぎない場合は、特別上告の適法な理由には当たらない。 第1 事案の概要:上告人は憲法違反を理由として本件上告を提起したが、その主張の具体的な内容は、下級審判決における法令の適用や解釈に誤りがあるという点に帰結するものであった。なお、…
事件番号: 昭和34(テ)7 / 裁判年月日: 昭和35年7月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】特別上告において違憲を主張していても、その実質が単なる法令違背や事実誤認の主張にすぎない場合は、適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:上告人らは、原審の判決に対して憲法違反を理由として特別上告を提起した。しかし、その主張の内容は、原審の事実認定が法令に違反していることや、事実認定そのも…
事件番号: 昭和33(テ)12 / 裁判年月日: 昭和37年1月19日 / 結論: 棄却
右事例としての意義以外に裁判要旨として特記すべき意義はない。