右事例としての意義以外に裁判要旨として特記すべき意義はない。
訴訟承継人らが選定当事者を選定して特別上告をした事例
民訴法47条
判旨
憲法違反を主張していても、その実質が単なる事実誤認の主張にすぎない場合は、民事訴訟法第409条の2第1項に定める適法な特別上告の理由には当たらない。
問題の所在(論点)
特別上告において、形式上は憲法違反を掲げつつ、その実質が二審の事実認定を争うものである場合、民事訴訟法上の適法な特別上告理由(現行336条1項)に該当するか。
規範
特別上告(民訴法第409条の2第1項、現行336条1項)が適法とされるためには、憲法解釈の誤りその他憲法違反の主張が具体的に示される必要がある。形式的に憲法違反を主張していても、その実質が下級審の認定した事実関係の不当性を争う「単なる事実誤認の主張」に帰着する場合には、適法な上告理由とは認められない。
重要事実
上告人(特別上告人)の先代が昭和23年中に被上告人から買い受け、他人に飼育させていた牛と、被上告人が昭和25年に訴外Dに売却した牛の同一性について、二審判決が肯定的な認定を行った。これに対し、上告人は事実誤認があるとして憲法違反を主張し、上告を棄却した原審の判断に違法があると主張して特別上告を提起した。
事件番号: 昭和35(テ)23 / 裁判年月日: 昭和36年3月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法29条違反を主張する特別上告において、その前提となる事実関係が原審の認定と異なる場合や、原審の権限に属しない事項を前提とする場合には、上告理由として適法ではない。 第1 事案の概要:特別上告人は、原判決には憲法29条違反の違憲があると主張して特別上告を申し立てた。しかし、その主張の前提となって…
あてはめ
上告人は、牛の同一性に関する認定が誤りであると主張しているが、これは特定の具体的な証拠に基づく事実認定の当否を争うものである。本件における憲法違反の主張は、この事実誤認の主張を前提としたものに過ぎない。したがって、主張の実質は憲法問題ではなく、単なる事実認定の不服であると判断される。このような主張は、憲法の直接の違反や解釈の誤りを指摘するものとは言えず、特別上告の法定理由を欠く。
結論
本件上告は適法な上告理由を欠くため、棄却を免れない。
実務上の射程
憲法違反を形式的に主張するだけでは足りず、不服の内容が憲法上の争点として構成されていない限り、特別上告は門前払い(棄却)されるという実務上の運用を再確認するものである。答案上は、特別上告の適法性を検討する際、主張の「実質」に着目して法定理由(憲法違反)に該当するかを判断する基準として活用できる。
事件番号: 昭和29(オ)46 / 裁判年月日: 昭和31年3月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】不法行為等に関する実体法上の判断は示されず、民事上告事件の審判の特例に関する法律に基づき、憲法違反や重要な法令解釈の主張に該当しないとして上告が棄却された事例である。 第1 事案の概要:上告人は、原判決の事実誤認を前提とした違憲主張や、統制法令(専売局長の許可等)に関する誤認を主張して上告した。原…
事件番号: 昭和33(テ)1 / 裁判年月日: 昭和33年6月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】特別上告において憲法違反が主張されていても、その実質が単なる訴訟法違反の主張にすぎない場合には、適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:上告人は、原判決に憲法違反がある旨を主張して特別上告を提起した。しかし、その主張の内容を精査したところ、憲法問題に名を借りた単なる訴訟法違反の指摘にとど…