判旨
憲法29条違反を主張する特別上告において、その前提となる事実関係が原審の認定と異なる場合や、原審の権限に属しない事項を前提とする場合には、上告理由として適法ではない。
問題の所在(論点)
事実誤認や原審の権限外の事項を前提として憲法違反を主張する場合、民事訴訟法上の適法な特別上告理由(憲法違反)として認められるか。
規範
特別上告において憲法違反を主張する場合であっても、その主張が原判決の認定した事実に反する前提に基づいている場合、または原審の権限外の事項を前提とする場合には、適法な上告理由を構成しない。
重要事実
特別上告人は、原判決には憲法29条違反の違憲があると主張して特別上告を申し立てた。しかし、その主張の前提となっている事実関係は原判決の判示と整合せず、また、原審の権限に属しない事項について違法があると主張するものであった。
あてはめ
本件上告理由のうち憲法29条違反をいう点は、原判決の認定に副わない事実を前提としているか、あるいは原審の権限に属しない事項について違法をいうものである。したがって、これらの主張はいずれも前提を欠くものであり、憲法違反を実質的に基礎付けるものとはいえない。
結論
本件特別上告は適法な理由を欠くため、棄却される。
実務上の射程
特別上告の理由が実質的に事実誤認の主張にわたる場合や、不適切な前提に基づく場合には、門前払い(上告棄却)となることを示す。答案上は、憲法違反を理由とする上告の適法性を論述する際、主張の前提となる事実関係の正確性が要求されることを裏付ける材料として利用できる。
事件番号: 昭和33(テ)12 / 裁判年月日: 昭和37年1月19日 / 結論: 棄却
右事例としての意義以外に裁判要旨として特記すべき意義はない。