判旨
憲法違反を主張する上告であっても、その実質が単なる法令違反の主張にすぎない場合は、特別上告の適法な理由には当たらない。
問題の所在(論点)
憲法違反を理由とする特別上告において、その実質が法令違反の主張である場合、上告理由として適法か。
規範
特別上告(旧民事訴訟法409条の2第2項、現行法336条1項)が認められるためには、憲法の解釈の誤りその他憲法違反の憲法問題が実質的に含まれていることを要する。形式的に憲法違反を主張しても、その実質が単なる法令違反の主張である場合には、適法な上告理由とはならない。
重要事実
上告人は憲法違反を理由として本件上告を提起したが、その主張の具体的な内容は、下級審判決における法令の適用や解釈に誤りがあるという点に帰結するものであった。なお、具体的な事案の詳細は判決文からは不明である。
あてはめ
上告人の論旨は憲法違反を標榜しているものの、判決内容を精査するとその実質は単なる法令違反を指摘するものに留まっている。したがって、憲法違反を直接の理由とする特別上告の要件を満たしているとは評価できない。
結論
本件上告は特別上告の適法な理由を欠くため、棄却されるべきである。
実務上の射程
憲法違反という言葉を用いていても、実質が事実誤認や単なる法令適用・解釈の誤りであれば、特別上告(または憲法上告)の理由として不適法とされる。答案上は、憲法違反の主張が形式的か実質的かを区別する際の根拠として機能する。
事件番号: 昭和34(テ)7 / 裁判年月日: 昭和35年7月1日 / 結論: 棄却
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事件番号: 昭和29(テ)19 / 裁判年月日: 昭和30年7月26日 / 結論: 棄却
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