判旨
特別上告において違憲を主張していても、その実質が単なる法令違背や事実誤認の主張にすぎない場合は、適法な上告理由には当たらない。
問題の所在(論点)
特別上告において、憲法違反を主張していても、その実質が事実誤認や単なる法令違背の主張である場合に、民事訴訟法上の適法な上告理由といえるか。
規範
民事訴訟法における特別上告の事由は、憲法の解釈の誤りその他憲法の違反がある場合に限られる。形式的に違憲を主張していても、その実質が原審の認定した事実の誤認や、単なる法令の解釈適用の誤りを争うものである場合には、適法な上告理由として認められない。
重要事実
上告人らは、原審の判決に対して憲法違反を理由として特別上告を提起した。しかし、その主張の内容は、原審の事実認定が法令に違反していることや、事実認定そのものに誤りがあること、さらには法令の解釈適用が不当であることを争うものであった。
あてはめ
上告人らの主張は、名目的には違憲を称しているものの、その実質は「原審の事実認定の単なる法令違背」や「事実誤認」を主張し、「法令の解釈適用を争う」にとどまるものである。これは、憲法問題の判断を求める本来の特別上告の趣旨に適合せず、実質的な憲法違反の指摘を欠いているといえる。
結論
本件上告は適法な理由を欠くため、棄却されるべきである。
実務上の射程
司法試験の民事訴訟法において、上告審の構造や上告理由の制限を論じる際に参照される。特に、上告理由の形式的な記載にかかわらず、裁判所は実質的に判断の対象を吟味し、単なる法令違背や事実誤認を「違憲」にすり替える主張を排除するという実務上の運用を裏付けるものである。
事件番号: 昭和29(テ)15 / 裁判年月日: 昭和30年7月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法違反を主張する上告であっても、その実質が単なる法令違反の主張にすぎない場合は、特別上告の適法な理由には当たらない。 第1 事案の概要:上告人は憲法違反を理由として本件上告を提起したが、その主張の具体的な内容は、下級審判決における法令の適用や解釈に誤りがあるという点に帰結するものであった。なお、…
事件番号: 昭和33(テ)7 / 裁判年月日: 昭和35年3月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法は、81条の規定を除き、審級制度を立法政策に委ねており、上告理由を制限する民訴法の規定は憲法32条に違反しない。また、判決原本への署名捺印が転補前になされていれば、判決手続きは適法である。 第1 事案の概要:上告人は、民事訴訟法393条3項(旧法)が憲法32条に違反すると主張した。また、原審の…