判旨
仮処分に関する高等裁判所の終局判決に対する上告は、判決に憲法の解釈の誤りその他憲法の違反がある場合に限定される。実質的に手続規定の解釈に関する不服にすぎない主張は、適法な上告理由には当たらない。
問題の所在(論点)
仮処分に関する高等裁判所の終局判決に対する上告において、憲法違反を名目としつつ、実質的に単なる手続規定の解釈の誤りを主張する場合、適法な上告理由といえるか。
規範
仮処分に関する高等裁判所の終局判決に対する上告は、民事訴訟法(昭和23年法律第135号による改正前のもの)409条の2第1項・第2項(現行民事執行法・民事保全法等の特別法及び民事訴訟法312条等に対応)の規定により、その判決に憲法の解釈の誤りがあること、またはその他憲法の違背があることを理由とする場合にのみ許容される。
重要事実
仮処分に関し、高等裁判所が終局判決を下した。これに対し、上告人が上告を提起し、その理由として憲法違反を主張した。しかし、その主張の実質的な内容は、民事訴訟手続に関する規定の解釈について原判決の判断を非難するものであった。
あてはめ
本件の上告理由は、形式的には違憲を主張している。しかし、その実質を検討すると、単なる手続規定の解釈に関する原審の判断を非難するにとどまっている。これは、法が限定的に認めた「憲法の解釈の誤り」や「憲法違背」には該当しない。したがって、実質的な違憲の主張とは認められないため、適法な上告理由として採用することはできない。
結論
本件上告は適法な上告理由を欠くため、棄却される。
実務上の射程
仮処分等の保全処分に関する上告審において、上告理由が憲法違反に限定される場合の「違憲の主張」の厳格性を説くものである。答案作成上は、単なる法令違背を違憲の主張にすり替えても、上告理由としての適格性を欠くと判断される際の根拠として活用できる。現行法下での特別上告(民訴法336条)等の準用場面でも同様の論理が妥当する。
事件番号: 昭和29(テ)19 / 裁判年月日: 昭和30年7月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】仮処分に関する終局判決に対する上告は、憲法解釈の誤り等の憲法違反がある場合に限られ、実質的に実体法規の解釈の誤りを非難するものは適法な上告理由に当たらない。 第1 事案の概要:上告人は、仮処分に関する高等裁判所の終局判決に対し、憲法29条(財産権)違反を理由として上告を提起した。しかし、その主張の…
事件番号: 昭和29(テ)15 / 裁判年月日: 昭和30年7月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法違反を主張する上告であっても、その実質が単なる法令違反の主張にすぎない場合は、特別上告の適法な理由には当たらない。 第1 事案の概要:上告人は憲法違反を理由として本件上告を提起したが、その主張の具体的な内容は、下級審判決における法令の適用や解釈に誤りがあるという点に帰結するものであった。なお、…
事件番号: 昭和34(テ)7 / 裁判年月日: 昭和35年7月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】特別上告において違憲を主張していても、その実質が単なる法令違背や事実誤認の主張にすぎない場合は、適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:上告人らは、原審の判決に対して憲法違反を理由として特別上告を提起した。しかし、その主張の内容は、原審の事実認定が法令に違反していることや、事実認定そのも…