民訴第四〇九条ノ二第二項の規定は憲法第三二条に違反しない。
民訴法第四〇九条ノ二第二項の合憲性
民訴法409条ノ2第2項,憲法32条
判旨
憲法32条は裁判を受ける権利を保障するが、審級制度の構成は立法政策の問題であり、保全処分に関する判決に対して通常の上告を認めない民事訴訟法の規定は違憲ではない。
問題の所在(論点)
仮差押または仮処分に関する判決に対し、通常の上告を認めない旨の民事訴訟法の規定は、憲法32条に違反し違憲とならないか。審級制度の設計に関する立法府の裁量の限界が問題となる。
規範
憲法32条は何人も裁判所において裁判を受ける権利があることを規定したに過ぎず、いかなる裁判所において裁判を受けるべきか、その組織、権限、審級等は、憲法81条(違憲審査権)を除き、諸般の事情を考慮して決定すべき立法政策の問題である。したがって、合理的な理由に基づき上告を制限することは、立法府の裁量の範囲内として許容される。
重要事実
上告人は、仮差押または仮処分に関する判決に対して通常の上告を認めない当時の民事訴訟法の規定が、憲法32条(裁判を受ける権利)に違反すると主張して上告を申し立てた。
あてはめ
保全処分(仮差押・仮処分)は、本案の解決までの暫定的な措置であり、申請理由となる事実は疏明(そめい)で足り、本案の確定的な裁判を拘束するものではない。このような保全処分の性質に鑑みれば、迅速な処理を優先し、通常の上告を制限することは立法政策上合理的な理由がある。したがって、審級を制限する民事訴訟法の規定は、憲法が保障する裁判を受ける権利を不当に制限するものではない。
結論
保全処分に関する判決に通常の上告を認めない規定は、憲法32条に違反しない。
実務上の射程
司法試験において「裁判を受ける権利」と「審級制度」の関係が問われた際、審理の簡略化や迅速化が求められる手続(保全処分、督促手続、少額訴訟等)における上告制限を正当化する際の規範として活用できる。
事件番号: 昭和36(テ)25 / 裁判年月日: 昭和36年9月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法32条は裁判を受ける権利を規定するが、裁判所の組織、権限、審級等の具体的制度は法律による立法政策の問題である。したがって、仮差押や仮処分に関する判決について通常の上告を認めない民事訴訟法の規定は同条に違反しない。 第1 事案の概要:上告人は、仮差押または仮処分に関してなされた判決に対し、通常の…
事件番号: 昭和35(テ)13 / 裁判年月日: 昭和36年11月17日 / 結論: 棄却
仮差押又は仮処分に関する判決に対し通常の上告を許さない旨定めた民訴法の規定は、憲法第三二条に違反しない。
事件番号: 昭和57(テ)11 / 裁判年月日: 昭和57年5月27日 / 結論: 棄却
民訴法四〇九条ノ二の規定及び民訴規則五九条によつて特別上告事件の訴訟手続に準用される民訴規則四六条ないし四九条の規定は、憲法三二条に違反しない。