民訴法四〇九条ノ二の規定及び民訴規則五九条によつて特別上告事件の訴訟手続に準用される民訴規則四六条ないし四九条の規定は、憲法三二条に違反しない。
民訴法四〇九条ノ二第二項及び民訴規則五九条によつて準用される民訴規則四六条ないし四九条と憲法三二条
憲法32条,民訴法409条ノ2第2項,民訴規則46条ないし49条,民訴規則59条
判旨
憲法81条が定める最高裁判所の権限を除き、審級制度の具体的内容は立法政策の問題であり、仮差押等の判決に対する上告制限は憲法32条に違反しない。
問題の所在(論点)
審級制度の構成や、特定の裁判手続における上告制限(不服申立権の制限)が、憲法32条の保障する「裁判を受ける権利」を侵害し違憲となるか。
規範
審級制度については、憲法81条に規定する最高裁判所の終審裁判所としての権限等を除いては、立法をもって適宜に定めるべき事項であり、広範な立法裁量に委ねられている。
重要事実
上告人らは、仮差押又は仮処分に関してなされた判決に対し、通常の上告をなしえないと定める当時の民事訴訟法409条ノ2第2項、及び上告理由の記載方式等を定める民事訴訟規則の規定が、裁判を受ける権利を保障する憲法32条に違反するとして争った。
事件番号: 昭和33(テ)7 / 裁判年月日: 昭和35年3月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法は、81条の規定を除き、審級制度を立法政策に委ねており、上告理由を制限する民訴法の規定は憲法32条に違反しない。また、判決原本への署名捺印が転補前になされていれば、判決手続きは適法である。 第1 事案の概要:上告人は、民事訴訟法393条3項(旧法)が憲法32条に違反すると主張した。また、原審の…
あてはめ
憲法は81条において最高裁判所の地位を定めているが、それ以外の審級制度の具体的設計については明文の規定がない。したがって、どのような裁判に対してどの程度の上告を認めるか、あるいは上告理由の記載方式をどのように定めるかは、本質的に立法政策の問題に帰着する。本件における仮差押等に関する上告制限も、この立法裁量の範囲内にあると解される。
結論
民訴法等の規定は憲法32条に違反しない。したがって、本件上告は棄却されるべきである。
実務上の射程
裁判を受ける権利(32条)と審級の保障に関する基礎的判例である。憲法は三審制を直接保障しておらず、上告制限の合憲性を論じる際の出発点となる。司法試験等では、裁判を受ける権利の内容が「裁判所による一度の裁判」を保障するに留まり、審級の構成は立法府の合理的な裁量に委ねられることを論証する際に引用する。
事件番号: 昭和30(テ)14 / 裁判年月日: 昭和32年3月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法上、裁判所の裁判権(上告審の範囲等)に関する事項は、憲法81条の規定を除き、立法府の広範な裁量に委ねられた立法政策の問題である。したがって、仮処分に関する判決に対して通常の上告を認めない民事訴訟法の規定は、憲法32条等に違反しない。 第1 事案の概要:上告人は、仮処分に関する判決に対し通常の上…
事件番号: 昭和36(テ)25 / 裁判年月日: 昭和36年9月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法32条は裁判を受ける権利を規定するが、裁判所の組織、権限、審級等の具体的制度は法律による立法政策の問題である。したがって、仮差押や仮処分に関する判決について通常の上告を認めない民事訴訟法の規定は同条に違反しない。 第1 事案の概要:上告人は、仮差押または仮処分に関してなされた判決に対し、通常の…
事件番号: 昭和38(テ)6 / 裁判年月日: 昭和38年4月9日 / 結論: 棄却
合憲(昭和三〇年(テ)第一七号同三一年一二月一一日第三小法廷判決、民集一〇巻一五五〇頁参照)。