合憲(昭和三〇年(テ)第一七号同三一年一二月一一日第三小法廷判決、民集一〇巻一五五〇頁参照)。
民訴法第四〇九条ノ二第二項の合憲性。
判旨
裁判所の組織、権限、審級の定めは、憲法81条が定める違憲審査権を除き、原則として法律の合理的な裁量に委ねられており、上告理由を憲法違反に限定する規定も憲法29条、32条に違反しない。
問題の所在(論点)
審級制度の設計や上告理由の制限は法律に委ねられているか。特に、上告理由を憲法違反に限定する規定は、裁判を受ける権利(憲法32条)等を侵害し違憲となるか。
規範
いかなる裁判所において裁判を受けるべきかという裁判所の組織、権限、審級については、憲法81条の規定(最高裁判所による違憲審査権)に係る場合を除き、憲法上は法律によって適当に定めうるものと解される。
重要事実
上告人は、仮差押に関し高等裁判所が第二審としてした終局判決に対し、上告理由を憲法違反(憲法解釈の誤り等)に限定している当時の民事訴訟法409条の2第2項の規定は、財産権を保障する憲法29条および裁判を受ける権利を保障する憲法32条に違反するとして上告を申し立てた。
あてはめ
憲法上、具体的な審級の構成や各審級における審理の範囲は立法府の裁量に属する。本件において、仮差押という保全処分の性質に鑑み、第二審を終局とする原則を立てつつ、憲法違反という重大な事由がある場合に限り最高裁判所への上告を認めるという制限を設けることは、合理的な立法政策の範囲内といえる。したがって、憲法違反以外の単なる法令違背を理由とする上告は、適法な上告理由に当たらない。
結論
本件上告は不適法であり、棄却される。上告理由の制限を定めた民事訴訟法の規定は合憲である。
実務上の射程
憲法が保障する「裁判を受ける権利」は、必ずしも全ての事件について最高裁判所までの三審制を保障するものではないことを示す。民事・刑事の訴訟手続において、上告受理申立て制度や抗告等の不服申立ての制限の合憲性を論じる際の基礎となる判例である。
事件番号: 昭和57(テ)11 / 裁判年月日: 昭和57年5月27日 / 結論: 棄却
民訴法四〇九条ノ二の規定及び民訴規則五九条によつて特別上告事件の訴訟手続に準用される民訴規則四六条ないし四九条の規定は、憲法三二条に違反しない。
事件番号: 昭和33(テ)7 / 裁判年月日: 昭和35年3月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法は、81条の規定を除き、審級制度を立法政策に委ねており、上告理由を制限する民訴法の規定は憲法32条に違反しない。また、判決原本への署名捺印が転補前になされていれば、判決手続きは適法である。 第1 事案の概要:上告人は、民事訴訟法393条3項(旧法)が憲法32条に違反すると主張した。また、原審の…
事件番号: 昭和29(オ)489 / 裁判年月日: 昭和30年7月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所は、上告理由が民事上告事件の審判の特例に関する法律所定の事由に該当せず、法令の解釈に関する重要な主張も含まない場合、原審の法律判断を正当として上告を棄却する。 第1 事案の概要:上告人らは、原審の判断に不服があるとして上告を提起したが、その主張内容は単なる法令違反を指摘するものであった。…
事件番号: 昭和36(テ)25 / 裁判年月日: 昭和36年9月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法32条は裁判を受ける権利を規定するが、裁判所の組織、権限、審級等の具体的制度は法律による立法政策の問題である。したがって、仮差押や仮処分に関する判決について通常の上告を認めない民事訴訟法の規定は同条に違反しない。 第1 事案の概要:上告人は、仮差押または仮処分に関してなされた判決に対し、通常の…