判旨
仮差押え又は仮処分に関する判決に対し通常の上告を認めない民訴法の規定、及び憲法81条に基づく上告制限の規定は、憲法32条、76条、81条に違反しない。
問題の所在(論点)
仮差押えまたは仮処分に関する判決に対し、通常の上告を提起できない旨を定めた当時の民事訴訟法の規定、および憲法81条の規定を受けた上告制限規定が、憲法32条(裁判を受ける権利)、76条(司法権)、81条(違憲審査制)に違反しないか。
規範
憲法32条の裁判を受ける権利は、必ずしも全ての裁判手続において上告を認めることを保障するものではなく、仮差押え等の保全処分に関する手続において上告制限を設けることは、合理的な立法裁量の範囲内として合憲である。また、憲法81条に基づく違憲審査権の行使を前提とした上告制限規定も、同条の趣旨に反しない。
重要事実
上告人らは、仮差押えまたは仮処分に関してなされた判決に対し、通常の上告を提起した。しかし、当時の民事訴訟法393条3項(現在の民事保全法等に関連する規定)は、保全処分に関する判決に対する通常の上告を認めていなかった。また、憲法81条に関連する民訴法409条ノ2第2項等の上告制限規定についても、その合憲性が争われた。
あてはめ
判決文によれば、保全処分に関する上告制限規定および憲法81条を受けた上告制限規定が違憲でないことは、過去の大法廷判決(昭和23年7月7日、昭和25年2月1日等)によって既に確立された判例である。保全手続は迅速性が要求される付随的な手続であり、通常の上告を認めないとしても裁判を受ける権利を侵害するものではないと解される。したがって、本件の上告理由はいずれも理由がない。
結論
本件上告は棄却される。仮処分等に関する上告制限規定は合憲である。
実務上の射程
本判決は、保全処分や特別抗告等の手続において、上告が一定の範囲で制限されることの合憲性を確認したものである。答案上は、裁判を受ける権利(憲法32条)が三審制を絶対的に保障するものではないことの根拠として、また民事保全手続の特殊性に基づく不服申立て制限の合理性を説明する際に、判例の立場として引用できる。
事件番号: 昭和36(テ)25 / 裁判年月日: 昭和36年9月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法32条は裁判を受ける権利を規定するが、裁判所の組織、権限、審級等の具体的制度は法律による立法政策の問題である。したがって、仮差押や仮処分に関する判決について通常の上告を認めない民事訴訟法の規定は同条に違反しない。 第1 事案の概要:上告人は、仮差押または仮処分に関してなされた判決に対し、通常の…
事件番号: 昭和35(テ)13 / 裁判年月日: 昭和36年11月17日 / 結論: 棄却
仮差押又は仮処分に関する判決に対し通常の上告を許さない旨定めた民訴法の規定は、憲法第三二条に違反しない。
事件番号: 昭和30(テ)14 / 裁判年月日: 昭和32年3月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法上、裁判所の裁判権(上告審の範囲等)に関する事項は、憲法81条の規定を除き、立法府の広範な裁量に委ねられた立法政策の問題である。したがって、仮処分に関する判決に対して通常の上告を認めない民事訴訟法の規定は、憲法32条等に違反しない。 第1 事案の概要:上告人は、仮処分に関する判決に対し通常の上…