判旨
仮処分に関する終局判決に対する上告は、憲法解釈の誤り等の憲法違反がある場合に限られ、実質的に実体法規の解釈の誤りを非難するものは適法な上告理由に当たらない。
問題の所在(論点)
仮処分に関する終局判決に対する上告において、単なる実体法規の解釈の誤りの主張が、憲法違反を理由とする適法な上告理由として認められるか。
規範
仮処分に関する高等裁判所の終局判決に対する上告は、判決に憲法の解釈の誤りその他憲法の違背があることを理由とする場合にのみ許容される(旧民事訴訟法409条の2第1項、2項参照)。実体法規の解釈の不当を主張するものは、形式的に憲法違反を冠していても、実質において違憲の主張とは認められない限り、適法な上告理由とはならない。
重要事実
上告人は、仮処分に関する高等裁判所の終局判決に対し、憲法29条(財産権)違反を理由として上告を提起した。しかし、その主張の実態は、原審が行った実体法規の解釈に関する判断を非難するものであった。
あてはめ
本件上告理由は、形式的には憲法29条違反を主張している。しかし、その具体的な内容は原判決における実体法規の解釈を批判するものにすぎない。これは実質において憲法の解釈の誤りや憲法違背を指摘するものとは認められず、旧民事訴訟法409条の2第2項に規定する制限された上告理由の範囲を逸脱していると解される。
結論
本件上告理由は適法な上告理由に当たらないため、本件上告を棄却する。
実務上の射程
保全処分等の特別の不服申立て制限がある手続において、実体法上の瑕疵を憲法違反に擬制して争う手法を封じる射程を持つ。現行民事訴訟法下における特別上告や、上告受理申立ての理由の検討際にも、憲法違反の主張が実質的に法令違憲・適用違憲といえるか、単なる事実誤認や法令解釈の不当にすぎないかを峻別する際の指針となる。
事件番号: 昭和29(テ)15 / 裁判年月日: 昭和30年7月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法違反を主張する上告であっても、その実質が単なる法令違反の主張にすぎない場合は、特別上告の適法な理由には当たらない。 第1 事案の概要:上告人は憲法違反を理由として本件上告を提起したが、その主張の具体的な内容は、下級審判決における法令の適用や解釈に誤りがあるという点に帰結するものであった。なお、…
事件番号: 昭和29(オ)489 / 裁判年月日: 昭和30年7月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所は、上告理由が民事上告事件の審判の特例に関する法律所定の事由に該当せず、法令の解釈に関する重要な主張も含まない場合、原審の法律判断を正当として上告を棄却する。 第1 事案の概要:上告人らは、原審の判断に不服があるとして上告を提起したが、その主張内容は単なる法令違反を指摘するものであった。…
事件番号: 昭和28(オ)72 / 裁判年月日: 昭和29年12月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】権利濫用の成否について、原審が認定した事実に基づき、権利の濫用を認めるべきでないとした原判決の判断を正当として維持したものである。 第1 事案の概要:上告人は、相手方の行為が権利濫用に該当すると主張して上告したが、具体的な事案の内容や原因となった紛争の詳細は本判決文からは不明である。原審(二審)は…