割賦販売法三〇条の四第一項新設前の個品割賦購入あつせんにおいて、購入者とあつせん業者の加盟店である販売業者との売買契約が販売業者の商品引渡債務の不履行を原因として合意解除された場合であつても、購入者とあつせん業者間の立替払契約においてかかる場合には購入者が右業者の履行請求を拒みうる旨の特別の合意があるとき又はあつせん業者において販売業者の右不履行に至るべき事情を知り若しくは知り得べきでありながら立替払を実行したなど右不履行の結果をあつせん業者に帰せしめるのを信義則上相当とする特段の事情があるときでない限り、購入者は、右合意解除をもつてあつせん業者の履行請求を拒むことはできない。
割賦販売法三〇条の四第一項新設前の個品割賦購入あつせんにおける売買契約上の抗弁とあつせん業者に対する対抗の可否
民法1条2項,民法650条1項,割賦販売法2条3項2号,割賦販売法30条の4
判旨
三者間割賦販売における売買契約の合意解除は、特段の事情がない限り、購入者が信義則に基づき割賦購入あっせん業者からの立替金支払請求を拒絶できる理由とはならない。
問題の所在(論点)
売買契約の合意解除という抗弁事由をもって、購入者はあっせん業者からの立替金請求を拒絶(抗弁の接続)できるか。信義則の適用の可否が問題となる。
規範
三者間割賦販売において、売買契約と立替払契約は別個の契約である。したがって、購入者は売買契約上の事由を当然にあっせん業者に対抗できない。ただし、①支払拒絶を認める旨の特別の合意がある場合、または②あっせん業者が販売業者の不履行に至るべき事情を知りつつ立替払を実行したなど、不履行の結果をあっせん業者に帰せしめるのを信義則上相当とする特段の事情がある場合には、対抗が可能となる。
重要事実
購入者B1は、加盟店である販売業者Dから呉服を買い、あっせん業者Aと立替払契約を締結した。その後、Dが商品を引渡さなかったため、B1とDは売買契約を合意解除し、Dが今後の処理を行う旨を約した。AはB1に対し立替払金の支払を求めたが、B1は売買契約の解除を理由にこれを拒んだ。なお、本件は改正前割賦販売法(抗弁の接続の規定がない時代)の事案である。
あてはめ
本件では、DがAの加盟店であり、合意解除に際してDが責任をもって処理する旨を約した事実は認められる。しかし、これらの事情だけでは「特段の事情(前記規範②)」があるとはいえない。また、契約条項に一定の瑕疵・遅延等の場合に支払拒絶を認める合意(前記規範①)が存在したとしても、B1が書面提出等の必要な手続を履践した事実は確認できない。単なる売買の合意解除のみでは、あっせん業者の請求を信義則違反と断じることはできない。
結論
購入者は、特別の合意や特段の事情がない限り、売買契約の合意解除をもってあっせん業者の履行請求を拒むことはできない。
実務上の射程
改正後の割賦販売法30条の4第1項(抗弁の接続)が適用されない場面(営業用購入や適用除外商品等)において、信義則を根拠に支払拒絶を主張する際の判断枠組みとして機能する。
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