建物の区分所有等に関する法律59条1項に基づく訴訟の口頭弁論終結後に被告であった区分所有者がその区分所有権及び敷地利用権を譲渡した場合に,その譲受人に対し同訴訟の判決に基づいて競売を申し立てることはできない。 (補足意見がある。)
建物の区分所有等に関する法律59条1項に基づく訴訟の口頭弁論終結後の区分所有権及び敷地利用権の譲受人に対し同訴訟の判決に基づいて競売を申し立てることの可否
建物の区分所有等に関する法律59条1項
判旨
建物区分所有法59条1項に基づく競売請求権は、特定の区分所有者の共同利益相反行為を理由とするものであるため、同訴訟の口頭弁論終結後に被告が区分所有権を譲渡した場合、譲受人に対し当該判決の効力は及ばず、これに基づく競売申立てはできない。
問題の所在(論点)
建物区分所有法59条1項に基づく競売請求訴訟の口頭弁論終結後に、被告である区分所有者がその区分所有権等を譲渡した場合、当該訴訟の判決に基づいて譲受人(承継人)に対し競売を申し立てることができるか。民事訴訟法115条1項3号の「承継人」として既判力・執行力が及ぶかが問題となる。
規範
建物区分所有法59条1項に基づく競売の請求は、特定の区分所有者が区分所有者の共同の利益に反する行為をし、又はその行為をするおそれがあるという「特定の者の属性」を原因として認められるものである。したがって、同訴訟の判決の効力(既判力・執行力)は、特段の事情のない限り、口頭弁論終結後の承継人(譲受人)には及ばない。
重要事実
区分所有者Aは多額の管理費を滞納していたため、管理組合法人(抗告人)はAに対し法59条1項に基づく競売請求訴訟を提起し、認容判決を得た。しかし、当該判決の確定前に、Aは本件建物の共有持分5分の4を相手方に譲渡した。抗告人は、本件判決の効力が譲受人である相手方にも及ぶと主張して、相手方を対象に含む競売を申し立てたが、原審が相手方に対する申立てを却下したため、許可抗告を申し立てた。
事件番号: 昭和26(ク)171 / 裁判年月日: 昭和26年10月5日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法上特に許された場合に限られ、民事事件においては特別抗告(旧民訴法419条の2)のみがこれに該当する。したがって、憲法適合性の判断の不当を理由としない最高裁判所への抗告は、不適法として却下される。 第1 事案の概要:抗告人が、下級裁判所の決定に対し、…
あてはめ
法59条1項の競売請求は、区分所有者の共同生活の維持を目的として、特定の区分所有者の「共同利益侵害状態」という個人的属性に着目して認められる制度である。譲受人が当然に前所有者と同様の侵害行為を行っているとは限らず、譲受人がどのような属性を有しているかは別個の判断を要する。本件において、抗告人は確定判決に基づき譲受人への執行を求めているが、上記性質に照らせば、譲受人は民訴法115条1項3号の承継人には該当せず、判決の効力を拡張することはできない。したがって、譲受人に対する競売申立ては適法な債務名義を欠くものである。
結論
被告であった区分所有者の譲受人に対し、当該訴訟の判決に基づいて競売を申し立てることはできない。本件抗告を棄却する。
実務上の射程
法59条の競売請求判決に承継効が認められないことを明示した重要判例である。実務上、訴訟係属中に譲渡がなされた場合は民訴法51条の訴訟引受けを利用すべきであり、判決確定後に譲渡された場合は、改めて譲受人の共同利益侵害状態を理由とした新訴(法59条2項等の手続を履践した上での提訴)が必要となる。
事件番号: 平成18(許)21 / 裁判年月日: 平成18年10月27日 / 結論: 破棄自判
登録自動車を目的とする民法上の留置権による競売においては,その被担保債権が当該自動車に関して生じたことが主要事実として認定されている確定判決であれば,債権者による当該自動車の占有の事実が認定されていなくとも,民事執行法181条1項1号所定の「担保権の存在を証する確定判決」に当たる。
事件番号: 昭和26(ク)163 / 裁判年月日: 昭和26年10月6日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関する裁判権を有するのは、訴訟法において特に許容された場合に限定される。民事事件においては、原決定の憲法適合性に関する判断を不服とする特別抗告のみが最高裁判所に対する適法な抗告理由となる。 第1 事案の概要:抗告人が、最高裁判所に対して抗告を申し立てた事案。本件記録によれば、抗告…
事件番号: 昭和26(ク)188 / 裁判年月日: 昭和26年10月8日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法上特に許容された場合に限られ、民事事件においては旧民事訴訟法419条の2(現行民訴法336条1項)に規定される特別抗告のみがこれに該当する。したがって、憲法違反の判断を不当とする理由以外での最高裁判所への抗告申立ては不適法である。 第1 事案の概要…
事件番号: 昭和26(ク)159 / 裁判年月日: 昭和26年9月17日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法において特に許容された場合に限定される。民事事件においては、原決定の憲法判断の不当を理由とする特別抗告(旧民訴法419条の2、現行336条)のみがこれに該当し、再抗告の規定は適用されない。 第1 事案の概要:抗告人は、何らかの裁判に対する不服申し立…