原判決中未決勾留日数算入部分が破棄された事例
刑法21条,刑訴法405条2号
判旨
未決勾留期間が、確定した別罪の懲役刑等の執行と重複する場合、その期間を本刑に算入することはできない。
問題の所在(論点)
未決勾留期間が、確定した別罪の懲役刑の執行期間と重複する場合、当該期間を刑法21条に基づき本刑に算入できるか。
規範
刑法21条が規定する未決勾留日数の算入は、身体の自由を拘束されているが刑の執行とは評価されない期間を本刑に充てる趣旨である。したがって、被告人が別罪の刑の執行を受けている期間は、たとえ当該被告事件について未決勾留の状が執行されていたとしても、その実質は「刑の執行」であって「未決勾留」には当たらない。ゆえに、別罪の確定判決に基づく既執行期間と重複する未決勾留日数を、当該被告事件の本刑に算入することは、刑法21条の解釈として許されない。
重要事実
被告人は、本件(住居侵入、強盗傷人)の勾留中であった平成22年4月28日、別罪(覚せい剤取締法違反)の懲役1年6月の判決が確定し、同日から刑の執行が開始された。原審(第2審)は、平成23年2月3日に控訴棄却の判決を言い渡す際、当審における未決勾留日数のうち100日を本刑に算入した。しかし、当該100日の期間は、被告人が別罪の懲役刑を執行されている期間中であった。
あてはめ
被告人に対する原審における未決勾留は、その全期間が別罪の刑の執行期間(平成22年4月28日の確定以降)と重複している。この期間は法的性質として「刑の執行」そのものであり、未決勾留としての実質を欠く。それにもかかわらず、原審が「当審における未決勾留日数中100日を原判決の刑に算入する」とした判断は、刑法21条の適用を誤ったものであり、従来の最高裁大法廷判決等の趣旨に反する違法な判断であるといえる。
結論
原判決中、未決勾留日数を算入した部分は刑法21条の適用を誤った違法があるため破棄を免れない。
実務上の射程
別罪の判決確定の有無およびその刑の執行開始時期を記録に基づき精査し、算入対象となる未決勾留日数が刑の執行と重複していないかを確認する必要がある。
事件番号: 昭和62(あ)226 / 裁判年月日: 昭和62年7月16日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】未決勾留期間が別罪の懲役刑等の執行と重複する場合、その期間は刑法21条の未決勾留日数として本刑に算入することはできない。受刑中の身分での勾留は、自由制限の性質が実質的に刑の執行に包含されるため、二重の利益を認めるべきではないからである。 第1 事案の概要:被告人は強盗等の罪で起訴され、第一審・第二…
事件番号: 昭和32(あ)908 / 裁判年月日: 昭和33年4月10日 / 結論: その他
一 原判決中「本件控訴を棄却する」とある部分に対する上告がその理由なく、「当審における未決勾留日数中百弐拾日を原判決の本刑に算入する」とある部分に対する上告がその理由ある本件においては、原判決中「当審における未決勾留日数中百弐拾日を原判決の本刑に算入する」との部分だけを破棄し、その余の部分に対する上告を棄却すべきもので…