判旨
未決勾留の全期間が確定判決に基づく刑の執行と重複する場合には、その未決勾留日数を本刑に算入することはできない。刑法21条の適用において、既決刑の執行期間と重なる未決勾留は算入の対象外となる。
問題の所在(論点)
未決勾留の期間が、別の確定判決に基づく刑の執行期間と重複している場合、刑法21条を適用してその未決勾留日数を本刑に算入することができるか。
規範
刑法21条に基づく未決勾留日数の本刑算入は、身柄拘束が重複する場合、既決刑の執行としての性質を有する期間についてはこれを認めることができない。すなわち、被告人に対する未決勾留の期間が、別個の確定判決に基づく刑の執行(残刑の執行等)と期間的に完全に重複する場合には、当該期間を本刑に算入することは違法である。
重要事実
被告人は窃盗罪(第一審)で勾留されていたが、これより以前に別の窃盗・傷害罪で懲役2年(執行猶予4年)の判決を受けていた。その後、前の刑の執行猶予が取り消され、仮出獄も取り消されたため、本件の一審判決後の控訴審期間中、被告人は別件の残刑執行を受けている状態にあった。原審(控訴審)は、控訴を棄却すると同時に、この期間中の未決勾留日数50日を本件の本刑に算入する旨の判決を言い渡したため、検察官が上告した。
あてはめ
被告人に対する原審(控訴審)での未決勾留期間は、その全期間が別件の確定判決による残刑の執行期間と重複している。未決勾留は本来、裁判確定前の身柄拘束を前提とするものであるが、本件のように既に他の刑の執行が開始されている場合には、その身柄拘束の実質は既決刑の執行である。したがって、この重複期間を本刑に算入することは、刑法21条の解釈を誤り、同条を不当に適用したものといえる。
結論
未決勾留期間が確定判決による刑の執行と重複する場合、その日数を本刑に算入することはできない。原判決中の算入部分は破棄される。
実務上の射程
刑法21条の「未決勾留日数」の算入範囲に関する基礎的な射程を示す。答案上では、余罪での勾留と別件の刑の執行が重なっている場合に、未決勾留日数の算入の可否を判断する際の規範として活用する。
事件番号: 昭和45(あ)2255 / 裁判年月日: 昭和46年5月20日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】未決勾留期間が確定判決に基づく刑の執行期間と重複する場合、その重複期間を刑法21条により本刑に算入することはできない。刑の執行を受けている状態は、未決勾留による身体拘束としての実質を欠くためである。 第1 事案の概要:被告人は窃盗罪で起訴され、昭和45年4月9日に勾留状の執行を受けた。一方、被告人…