判旨
未決勾留が他の確定判決による刑の執行と重複する場合、その重複期間中の未決勾留日数を本刑に算入することは、刑法21条の適用上許されない。
問題の所在(論点)
未決勾留が別件の刑の執行と重複する場合、その重複期間を刑法21条に基づき本刑に算入することができるか。
規範
未決勾留は、刑事被告人を勾留することによる身分上の拘束を実質的に刑の執行と同様に評価して算入を認めるものである。したがって、未決勾留期間が他の確定した懲役刑等の執行期間と重複している場合には、当該期間は既に刑の執行として機能しているため、これを重ねて未決勾留日数として本刑に算入することはできない。
重要事実
被告人は本件勾留中の昭和43年5月16日から、別件の窃盗罪による懲役刑の残刑執行を受け、同年8月18日にその執行を終了した。その後、同年9月5日に原審は控訴棄却の判決を言い渡す際、原審における未決勾留日数のうち30日を本刑に算入すると判示した。しかし、原審の審理期間のうち別件の刑の執行と重複していない期間は、執行終了翌日の8月19日から判決前日の9月4日までの17日間のみであった。
あてはめ
被告人は昭和43年5月16日から8月18日まで別件の刑の執行を受けており、この期間は未決勾留と刑の執行が重複している。この重複期間は、既に別件の刑の執行として算入されている以上、本件の本刑に算入し得る未決勾留日数には含まれない。したがって、本刑に算入可能な未決勾留日数は、刑の執行が終了した翌日の8月19日から原判決言渡前日の9月4日までの17日間に限られる。それにもかかわらず30日の算入を認めた原判決は、刑法21条の解釈を誤ったものである。
結論
未決勾留が刑の執行と重複する場合、その重複期間の未決勾留日数を本刑に算入することは許されない。算入できるのは、執行と重複しない17日間に限られる。
実務上の射程
刑法21条の「未決勾留日数」の範囲に関する基本判例である。司法試験においては、罪数や刑の執行の文脈で、被告人が複数の事件で身柄拘束を受けている際の既決刑との調整を論ずる際に参照すべき基準となる。
事件番号: 昭和37(あ)2364 / 裁判年月日: 昭和38年2月22日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】他の確定判決に基づく刑の執行を受けている期間と重複する未決勾留日数は、刑法21条の「未決勾留の日数」として本刑に算入することはできない。 第1 事案の概要:被告人は本件の起訴前から第一審・原審を通じて勾留されていたが、その期間中に別件の窃盗罪による懲役刑の仮出獄が取り消され、昭和37年5月14日か…