判旨
被告人が勾留中に別罪の懲役刑の執行を受けた場合、勾留と刑の執行が重複する期間については、未決勾留日数を本刑に算入することはできない。
問題の所在(論点)
未決勾留と別罪の刑の執行が重複している場合、刑法21条に基づき、その重複期間を未決勾留日数として本刑に算入することができるか。
規範
刑法21条に基づく未決勾留日数の本刑算入について、勾留による拘禁と別罪の確定判決に基づく刑の執行による拘禁が競合(重複)している場合、その重複する期間は未決勾留日数として本刑に算入することは許されない。
重要事実
被告人は窃盗罪等で勾留されていたが、その期間中に別罪の懲役刑につき仮出獄が取り消されたため、残刑の執行を受けた(昭和40年4月2日から同年6月22日まで)。原審は、この刑の執行期間と重複する未決勾留日数を含めて、合計40日を本刑に算入する判決を言い渡した。
あてはめ
本件では、被告人は昭和40年4月2日から6月22日まで別罪の残刑執行を受けていた。この期間は刑の執行としての性質を有するため、未決勾留としての性質を失う。したがって、算入可能な未決勾留日数は、刑の執行が終了した翌日(6月23日)から原判決言い渡しの前日(6月28日)までの6日間に限定される。原審が40日の算入を認めたことは、刑法21条の解釈を誤り、判例に相反する判断をしたといえる。
結論
勾留と刑の執行が競合する期間の未決勾留日数を本刑に算入することは違法である。原判決のうち40日の算入を認めた部分を破棄し、6日のみを算入する。
実務上の射程
実務上、未決勾留日数の算入を検討する際は、被告人に余罪の確定判決による既決の既執行期間がないかを確認する必要がある。重複期間の算入不可という原則は、二重の利益付与を防止する趣旨であり、答案作成時も「刑の執行と重複しない期間」を特定して算入日数を論じるべきである。
事件番号: 昭和43(あ)2206 / 裁判年月日: 昭和44年2月28日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】未決勾留が他の確定判決による刑の執行と重複する場合、その重複期間中の未決勾留日数を本刑に算入することは、刑法21条の適用上許されない。 第1 事案の概要:被告人は本件勾留中の昭和43年5月16日から、別件の窃盗罪による懲役刑の残刑執行を受け、同年8月18日にその執行を終了した。その後、同年9月5日…