判旨
未決勾留期間が別罪の確定判決に基づく刑の執行期間と重複する場合、その重複期間を本刑に算入することは刑法21条に違反し許されない。
問題の所在(論点)
未決勾留期間が、別罪の確定判決に基づく刑の執行期間と重複する場合、刑法21条を適用して当該期間を本刑に算入することができるか。
規範
刑法21条に基づく未決勾留日数の算入は、身辺の自由が不当に拘束されたことに対する補償的性質を有するものである。したがって、未決勾留の期間が、仮出獄の取消し等によって別罪の確定判決に基づく刑の執行を受けている期間と重複する場合には、その期間は刑の執行としての拘束であり「未決」の拘束とはいえないため、本刑への算入は認められない。
重要事実
被告人は、本件窃盗未遂の事実により勾留されていたが、勾留中の昭和45年9月28日、別罪(窃盗等)に係る仮出獄が取り消され、残刑の執行が開始された。被告人は以後、本件の原判決に至るまで右刑の執行中であった。原審は、この刑執行期間と重複する原審における未決勾留日数中40日を、本件の刑に算入する旨の判決を言い渡した。
あてはめ
被告人に対する原審の未決勾留期間は、すべて別罪の仮出獄取消しに伴う残刑の執行期間と重複している。この期間は、別罪の刑の執行という正当な権限に基づく拘禁であり、本件における未決の拘束としての実質を欠く。したがって、かかる重複期間について未決勾留日数の算入を認めた原判決は、刑法21条の解釈を誤った違法があるといえる。
結論
別罪の刑執行と重複する未決勾留日数を本刑に算入することはできず、当該算入部分は破棄されるべきである。
実務上の射程
実務上、被告人に余罪の既決刑がある場合、未決勾留日数の算入を検討するにあたっては、検察官提出の既決の有無や執行状況を確認する必要がある。答案上は、刑法21条の適用場面において、拘束の二重評価を避ける趣旨から、既決刑の執行との重複がないかを確認する際の判断枠組みとして活用する。
事件番号: 昭和47(あ)2022 / 裁判年月日: 昭和48年3月30日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】未決勾留期間が別個の確定判決に基づく刑の執行期間と重複する場合、その重複期間については刑法21条に基づく本刑への算入は認められない。 第1 事案の概要:被告人は窃盗未遂罪で勾留中であったが、その期間内に別罪の仮出獄が取り消され、昭和47年5月25日から同年9月3日まで残刑の執行を受けた。第一審判決…
事件番号: 昭和62(あ)226 / 裁判年月日: 昭和62年7月16日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】未決勾留期間が別罪の懲役刑等の執行と重複する場合、その期間は刑法21条の未決勾留日数として本刑に算入することはできない。受刑中の身分での勾留は、自由制限の性質が実質的に刑の執行に包含されるため、二重の利益を認めるべきではないからである。 第1 事案の概要:被告人は強盗等の罪で起訴され、第一審・第二…