別件懲役刑の執行と競合する未決勾留日数の本刑算入が違法であるとして破棄された事例
刑法21条
判旨
未決勾留期間が別個の確定判決に基づく刑の執行期間と重複する場合、その重複期間については刑法21条に基づく本刑への算入は認められない。
問題の所在(論点)
未決勾留期間が、別罪の確定判決に基づく刑の執行期間と重複する場合、当該重複期間を刑法21条により本刑に算入することができるか。
規範
刑法21条に基づく未決勾留日数の本刑算入は、刑の執行を受けていない状態での身体拘束を対象とするものである。したがって、勾留中であっても、別罪の確定判決に基づく刑の執行(仮出獄の取消しによる残刑執行等)を受けている期間は、既決囚としての拘禁という性質を有するため、未決勾留日数として本刑に算入することはできない。
重要事実
被告人は窃盗未遂罪で勾留中であったが、その期間内に別罪の仮出獄が取り消され、昭和47年5月25日から同年9月3日まで残刑の執行を受けた。第一審判決に対し被告人が控訴したところ、原審(控訴審)は、控訴棄却判決を言い渡す際に、原審における未決勾留日数のうち60日を本刑に算入した。しかし、この60日の中には、上記残刑の執行期間(9月3日まで)と重複する期間が含まれていた。
あてはめ
本件において、被告人が原審で勾留されていた期間のうち、残刑執行が終了した日の翌日(昭和47年9月4日)から原判決言渡しの前日(同月26日)までの期間は23日間である。これに対し、原審が算入した60日のうち、上記23日間を超える部分は、仮出獄取消しに伴う残刑の執行期間と重複していることが明らかである。この重複部分は刑法21条の適用対象とならない未決勾留日数であるといえる。
結論
残刑執行期間と重複する未決勾留日数を本刑に算入した原判決は、刑法21条の解釈を誤った違法がある。重複しない23日間のみを本刑に算入すべきである。
実務上の射程
実務上、被告人が余罪で服役中であったり、勾留中に別件の刑の執行が開始されたりする場合、その重複期間は未決勾留日数から除外して算入日数を計算しなければならない。答案作成においては、刑法21条の「算入」の対象が、純粋な未決状態での拘禁に限られることを示す論拠として活用する。
事件番号: 昭和56(あ)1748 / 裁判年月日: 昭和57年5月7日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】懲役刑の執行を受けている期間と未決勾留の期間が重なる場合、その競合期間を刑法21条に基づき本刑に算入することは、二重の刑執行を認めることになり許されない。 第1 事案の概要:被告人は、昭和55年6月に本件窃盗の事実で勾留された。一方で、被告人は別罪について執行猶予が取り消されたことにより、同年12…