懲役刑の執行と競合する未決勾留日数を本刑に算入した原判決が破棄された事例
刑法21条
判旨
懲役刑等の執行と競合する未決勾留日数を刑法21条により本刑に算入することは違法であり、算入が許されるのは実質的に未決勾留のみが行われている期間に限られる。
問題の所在(論点)
刑法21条に基づき未決勾留日数を本刑に算入する際、他の懲役刑の執行と期間が重なっている場合、その重複部分を算入することができるか。
規範
懲役刑等の刑の執行と、別事件に係る未決勾留が期間的に競合する場合、当該競合する未決勾留日数を刑法21条に基づき本刑に算入することは許されない。
重要事実
被告人は本件(窃盗等)につき起訴前から勾留されていた。第一審判決後、被告人が控訴を申し立てたところ(昭和49年12月5日)、原審継続中の同年12月16日に、別件の懲役刑に係る仮出獄取消決定が発効し、残刑の執行が開始された。原判決は、当審(原審)における未決勾留日数のうち90日を本刑に算入したが、当該期間には別件の刑の執行期間が含まれていた。
あてはめ
被告人は控訴申立日の12月5日から勾留状態にあったが、12月16日以降は別件の残刑執行が開始されており、未決勾留と刑の執行が競合している。刑の執行を受けている期間は、実質的に自由を拘束されている根拠が既判力ある確定判決の執行にあるため、これを刑法21条の「未決勾留」として本刑から減軽する対象とすることはできない。したがって、算入が許される限度は、控訴申立日の12月5日から残刑執行開始前日の12月15日までの11日間に限定される。
結論
原判決のうち、刑の執行と競合する期間を含めて90日の算入を認めた部分は刑法21条の適用を誤った違法がある。刑の執行と重ならない11日間のみを算入すべきである。
実務上の射程
本判決は、刑法21条の「未決勾留日数」の算入範囲を画するものである。実務上、被告人が余罪で受刑中である場合や、勾留中に別件の刑期が開始された場合には、その期間を本刑から差し引くことはできないという結論を導く際に活用される。
事件番号: 昭和40(あ)2220 / 裁判年月日: 昭和40年3月18日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】勾留と別罪の懲役刑の執行が競合している場合、その重複する期間の未決勾留日数を本刑に算入することは、刑法21条の適用において許されない。 第1 事案の概要:被告人は、本件窃盗罪で昭和40年6月2日から勾留されていた。一方で、被告人は別件の窃盗罪により懲役1年6月に処せられており、仮出獄の取消しによっ…