原判決中未決勾留日数算入の部分のみが破棄された事例
刑法21条,刑訴法357条,刑訴法410条1項
判旨
懲役刑の執行と競合する未決勾留日数を刑法21条により本刑に算入することは違法であり、仮出獄の取消しに伴う残刑執行期間中の勾留日数は算入の対象外となる。
問題の所在(論点)
懲役刑の執行(残刑執行)を受けている期間と重なる未決勾留の日数を、刑法21条により当該事件の刑期に算入することができるか。
規範
刑法21条に基づく未決勾留日数の本刑算入において、他の懲役刑の執行と期間が競合する未決勾留日数を算入することは許されない。
重要事実
被告人は窃盗罪等で懲役3年に処され、仮出獄中の昭和58年4月に別件窃盗で勾留された。同年5月27日に前科の仮出獄が取り消され、同月30日から同年12月3日まで残刑の執行を受けた。この間も別件の勾留は継続していたが、原審は昭和59年1月17日の判決において、控訴審での未決勾留日数のうち50日を本刑に算入した。
あてはめ
被告人が前科の仮出獄取消しに伴い残刑の執行を受けていた昭和58年5月30日から同年12月3日までの期間は、本件の未決勾留と懲役刑の執行が競合している。判例の趣旨に照らせば、この競合期間を本刑に算入することは違法である。したがって、算入が許されるのは残刑執行終了の翌日(12月4日)から原判決言渡前日(1月16日)までの44日間に限られる。原審が50日の算入を認めた判断は、刑法21条の解釈を誤ったものである。
結論
懲役刑の執行と競合する未決勾留日数を本刑に算入することはできず、残刑執行期間を除外した44日のみを算入すべきである。
実務上の射程
未決勾留の性質が、身柄拘束による不利益を刑の先取りとみなして調整する点にあることから、既に他の刑の執行を受けている期間は二重の利益付与となるため算入を否定する。実務上、被告人に余罪や前科の残刑がある場合の算入日数計算において、執行開始・終了の事実関係を精査する際の根拠となる。
事件番号: 昭和43(あ)2326 / 裁判年月日: 昭和44年4月3日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】懲役刑等の執行と未決勾留が競合する場合、その競合期間中の未決勾留日数を刑法21条に基づき本刑に算入することはできない。したがって、本刑に算入できる未決勾留日数は、刑の執行が開始される前日までの期間に限られる。 第1 事案の概要:被告人は窃盗罪(本件)により勾留中であったが、別件の執行猶予が取り消さ…