判旨
勾留と別罪の懲役刑の執行が競合している場合、その重複する期間の未決勾留日数を本刑に算入することは、刑法21条の適用において許されない。
問題の所在(論点)
勾留と別罪の懲役刑の執行が競合している場合に、その重複する未決勾留日数を刑法21条に基づき本刑に算入することができるか。
規範
刑法21条の未決勾留日数の算入において、勾留による拘禁と別罪に基づく懲役刑等の執行が競合している場合、その重複する部分は実質的に刑の執行としての性質を有するため、未決勾留日数として本刑に算入することはできない。
重要事実
被告人は、本件窃盗罪で昭和40年6月2日から勾留されていた。一方で、被告人は別件の窃盗罪により懲役1年6月に処せられており、仮出獄の取消しによって同年8月3日から同年11月2日まで残刑の執行を受けた。原審は、控訴棄却判決に際し、原審における未決勾留日数中60日を本刑に算入したが、この期間には上記残刑執行期間が重複して含まれていた。
あてはめ
被告人の勾留期間のうち、昭和40年8月3日から同年11月2日までは別罪の残刑執行期間と重複している。この重複期間は、既に刑の執行を受けている期間であるから、未決勾留日数の算入対象とはならない。したがって、算入可能な未決勾留日数の限度は、控訴申立の日(7月9日)から残刑執行開始の前日(8月2日)までの25日間に限られる。原審がこれを超えて60日の算入を認めたことは、刑法21条の解釈を誤ったものである。
結論
勾留と刑の執行が重複する期間の未決勾留日数を算入することは違法であり、算入可能な範囲は刑の執行が開始される前日までの期間に限定される。
実務上の射程
刑法21条(未決勾留日数の算入)に関する基本判例である。実務上、算入の対象となるのは「純粋な未決勾留」の期間に限られ、受刑中の勾留(いわゆる「刑待」)や別罪の刑期との重複期間は算入できないことを示す。答案作成においては、算入日数の計算誤りが違法事由となる際の根拠として用いる。
事件番号: 昭和50(あ)987 / 裁判年月日: 昭和50年11月28日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】懲役刑等の執行と競合する未決勾留日数を刑法21条により本刑に算入することは違法であり、算入が許されるのは実質的に未決勾留のみが行われている期間に限られる。 第1 事案の概要:被告人は本件(窃盗等)につき起訴前から勾留されていた。第一審判決後、被告人が控訴を申し立てたところ(昭和49年12月5日)、…