弁護人に対し証拠開示することを命じる旨求めた弁護人からの証拠開示命令請求(刑訴法316条の26第1項)を棄却する決定については,即時抗告の提起期間は,同決定の謄本が弁護人に送達された日から進行する。
弁護人に対し証拠開示することを命じる旨求めた弁護人からの証拠開示命令請求(刑訴法316条の26第1項)の棄却決定に対する即時抗告提起期間の起算日
刑訴法316条の15第1項,刑訴法316条の26,刑訴法352条,刑訴法358条,刑訴法422条
判旨
公判前整理手続における証拠開示命令請求の棄却決定に対する即時抗告の提起期間は、請求主体であり開示を受ける相手方である弁護人に決定謄本が送達された日から進行する。
問題の所在(論点)
弁護人が請求した証拠開示命令の請求棄却決定に対する即時抗告において、刑訴法422条の「裁判の告知」および提起期間の起算点は、被告人と弁護人のいずれへの送達を基準とすべきか。
規範
刑事訴訟法422条の即時抗告の提起期間は、当該裁判の告知を受けた時から進行するところ、公判前整理手続における証拠開示命令請求(316条の26第1項)を棄却する決定については、請求の主体であり、かつ証拠開示を受ける相手方として予定されている「弁護人」に決定謄本が送達された日から進行すると解すべきである。
重要事実
公判前整理手続において、弁護人が検察官に対し証拠開示を命じるよう裁判所に請求したが、原々審はこれを棄却した。当該棄却決定の謄本は、被告人本人には平成23年6月25日に、主任弁護人には同月27日にそれぞれ送達された。弁護人は同月30日に即時抗告を申し立てたが、原審は、提起期間は被告人への送達日から進行すると判断し、期間経過により不適法として棄却した。
事件番号: 令和6(し)761 / 裁判年月日: 令和6年11月15日 / 結論: その他
弁護人からの証拠開示命令請求(刑訴法316条の26第1項)を棄却した決定の謄本が先に弁護人に送達され、その後に被告人本人に送達された場合において、弁護人が同決定に対して即時抗告をするときは、その提起期間は、同決定の謄本が被告人本人に送達された日から進行する。
あてはめ
本件証拠開示命令の請求主体は弁護人であり、請求が認容された場合に証拠開示を受ける相手方として予定されているのも弁護人である。このような請求の形式に加え、公判前整理手続における証拠開示制度が、弁護人による証拠の十分な検討を通じて争点整理を行うという趣旨・内容を持つことに照らせば、弁護人が当該決定を受けたものと解するのが相当である。したがって、被告人への送達日ではなく、弁護人への送達日から期間が進行する。
結論
本件即時抗告の提起期間は弁護人への送達日から進行するため、本件申立ては期間内にされた適法なものである(原審の判断は誤りだが、実質的な理由がないとして抗告自体は棄却された)。
実務上の射程
公判前整理手続等、弁護人が独立した主体として活動することが予定されている手続において、告知の基準を判断する際の射程となる。被告人本人への送達のみをもって提起期間が経過したと判断されるリスクを限定する意義がある。
事件番号: 昭和43(し)95 / 裁判年月日: 昭和43年12月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判の告知(送達)が被告人本人と弁護人の双方に対してなされた場合、抗告申立期間は、被告人本人に対して送達された時から進行を開始する。 第1 事案の概要:弁護人Aが、即時抗告申立棄却決定に対して特別抗告を申し立てた事案。当該決定謄本は、被告人本人には昭和43年10月27日に、弁護人Aには同年10月2…
事件番号: 昭和43(し)83 / 裁判年月日: 昭和43年10月25日 / 結論: 棄却
保釈請求却下決定に対する準抗告申立棄却決定の謄本が、被告人と申立人である弁護人との双方に日を異にして送達された場合における抗告申立の期間は、被告人本人に送達された日から起算すべきである。
事件番号: 昭和43(し)20 / 裁判年月日: 昭和43年6月19日 / 結論: 棄却
保釈請求却下決定に対する準抗告申立棄却決定の謄本が、被告人と申立人である弁護人との双方に日を異にして送達された場合における抗告申立の期間は、被告人本人に送達された日から起算すべきである。
事件番号: 昭和51(し)22 / 裁判年月日: 昭和51年3月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】訴訟手続に関し判決前にした決定に対する異議申立てを棄却する旨の決定は、刑事訴訟法433条にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」には当たらない。したがって、かかる決定に対して同条に基づく特別抗告を申し立てることは不適法である。 第1 事案の概要:弁護人は、公判期日において、検察官…