卒業式の開式直前に,式典会場である体育館において,主催者に無断で,保護者らに対して,国歌斉唱のときには着席してほしいなどと大声で呼び掛けを行い,これを制止した教頭らに対して怒号するなどし,その場を喧噪状態に陥れるなどして,卒業式の円滑な遂行に支障を生じさせた行為をもって,刑法234条の罪に問うことは,憲法21条1項に違反しない。 (補足意見がある。)
卒業式の開式直前に保護者らに対して大声で呼び掛けを行い,これを制止した教頭らに対して怒号するなどし,卒業式の円滑な遂行を妨げた行為をもって刑法234条の罪に問うことが,憲法21条1項に違反しないとされた事例
憲法21条1項,刑法234条
判旨
管理者の許諾なく、駅構内で演説・ビラ配布等の表現活動を継続する行為について、建造物侵入罪(刑法130条前段)の成否が争われた事例。
問題の所在(論点)
駅構内における表現活動のための立ち入り及び滞留が、建造物侵入罪(刑法130条)に該当するか。また、憲法21条1項等の趣旨に照らし正当な行為として違法性が阻却されるか。
規範
建造物の管理者が、管理権に基づき、あらかじめ特定の目的以外での立ち入りを禁止している場合、又は立ち入り後に特定の行為を禁止して退去を求めた場合において、これに反して立ち入り、又は滞留を続ける行為は、管理者の意思に反するものとして「正当な理由」がない限り建造物侵入罪を構成する。表現の自由(憲法21条1項)の行使を目的とする場合であっても、その手段・態様が管理者の管理権を著しく侵害し、施設の平穏を乱すものであるときは、正当な業務行為として違法性が阻却されることはない。
重要事実
被告人らは、鉄道駅構内において、駅長の許諾を得ることなく、通行人の面前で拡声器を用いた演説やビラ配布を開始した。駅職員らがこれを制止し、退去を求めたにもかかわらず、被告人らは約20分間にわたり同所にとどまって活動を継続した。その際、被告人らは大声で職員を罵倒し、さらに職員の腕を掴んで移動を妨害するなどの有形力を行使した。当該駅構内は不特定多数の旅客が利用する公共性の高い場所であったが、被告人らの行為により旅客の通行や駅業務に支障が生じる状況であった。
事件番号: 平成10(あ)1491 / 裁判年月日: 平成14年9月30日 / 結論: 棄却
1 東京都が都道である通路に動く歩道を設置するため,通路上に起居する路上生活者に対して自主的に退去するよう説得して退去させた後,通路上に残された段ボール小屋等を撤去することなどを内容とする環境整備工事は,自主的に退去しなかった路上生活者が警察官によって排除,連行された後,その意思に反して段ボール小屋を撤去した場合であっ…
あてはめ
まず、被告人らは駅長の明示的な禁止及び退去要求に反して駅構内に滞留しており、客観的に管理者の意思に反する侵入行為が認められる。次に違法性について、表現の自由の重要性を考慮しても、本件は公共の場である駅構内において、管理者の制止を無視し、有形力を用いて職員の職務を妨害しながら行われたものである。このような手段・態様は、管理者の正当な管理権を侵害し、駅施設の平穏を著しく害するものといえる。したがって、本件表現活動は社会通念上許容される範囲を逸脱しており、正当な業務行為とは認められない。
結論
被告人らの行為は建造物侵入罪を構成し、憲法21条1項等にも違反しない。刑法130条前段の罪を肯定した原判断は正当である。
実務上の射程
本件は、いわゆる「パブリック・スペース」における表現活動と施設管理権の衝突について、表現の自由の行使であっても、管理者の意思を無視した強引な態様による場合は、建造物侵入罪の成立を免れないことを示したものである。
事件番号: 昭和59(あ)627 / 裁判年月日: 昭和62年3月12日 / 結論: 棄却
県議会委員会の条例案採決等の事務は、威力業務妨害罪にいう[業務]に当たる。
事件番号: 昭和41(あ)1510 / 裁判年月日: 昭和43年3月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】公共企業体等労働関係法17条1項に違反してなされた争議行為であっても、労働組合法1条2項の適用は排除されないが、暴力の行使を伴う行為は正当性の限界を越えるため刑事免責の対象とならない。 第1 事案の概要:被告人らは、公共企業体等労働関係法17条1項の規定に違反して争議行為を行った。その際、被告人ら…
事件番号: 昭和52(あ)469 / 裁判年月日: 昭和53年11月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】使用者はストライキ期間中も操業を継続する自由を有し、そのための対抗措置は威力業務妨害罪による保護対象となる。一方、争議行為としての操業阻止行為は、その動機・態様・周囲の状況等を総合考慮し、法秩序全体の見地から許容される範囲を超えれば、刑法上の違法性を阻却されない。 第1 事案の概要:旅客運送会社A…
事件番号: 昭和45(あ)2199 / 裁判年月日: 昭和53年3月3日 / 結論: 破棄自判
公共企業体等労働関係法一七条一項違反の争議行為として行われた本件威力業務妨害及び不退去行為は、刑法上の違法性を欠くものではない。