市営の老人福祉施設の民間事業者への移管に当たり,その相手方となる事業者の選考のための公募に提案書を提出して応募した者が,市長から,その者を相手方として上記移管の手続を進めることは好ましくないと判断したので提案について決定に至らなかった旨の通知を受けた場合において,上記移管は市と相手方となる事業者との間で契約を締結することにより行うことが予定されていたものであり,上記公募は法令の定めに基づくものではなく上記移管に適する事業者を契約の相手方として選考するための手法として行われたものであったという事情の下では,上記通知は,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらない。
市営の老人福祉施設の移管先の公募に提案書を提出して応募した事業者が市長から受けた,提案につき決定に至らなかった旨の通知が,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらないとされた事例
地方自治法234条1項,地方自治法234条2項,地方自治法238条の4第2項,地方自治法238条の4第5項,地方自治法238条の5第1項,地方自治法238条の5第4項,地方自治法238条の5第6項,地方自治法238条の5第7項,地方自治法施行令167条の2第1項2号,行政事件訴訟法3条1項,行政事件訴訟法3条2項
判旨
地方公共団体が老人福祉施設の民営化にあたり、随意契約の相手方を選定するために行った公募において、特定の応募者に対し契約を締結しない旨を通知する行為は、公権力の行使に当たる行為としての性質を有さず、行政処分に当たらない。
問題の所在(論点)
公立施設の民間移管に伴う事業者の公募において、契約を締結しない旨の通知(選考からの除外)が、抗告訴訟の対象となる「行政処分」に当たるか。
規範
行政庁の行為が行政処分(行政事件訴訟法3条2項)に当たるというためには、その行為が公権力の行使として、直接国民の権利義務を形成し、またはその範囲を確定することが法律上認められているものであることを要する。法令の根拠に基づかず、契約の相手方を選考するための手法として行われた募集・通知は、単なる事実の告知にすぎず、処分性を有しない。
重要事実
紋別市は、市立老人福祉施設を民間移管するため、建物の無償譲渡及び土地の無償貸与を内容とする契約の相手方を公募した。本件募集要綱に基づき、設立準備中の社会福祉法人A会が応募し、選定委員会で候補者に選定された。しかしその後、市長はA会に対し「移管手続を進めることは好ましくない」として、提案について決定に至らなかった旨の通知(本件通知)を行った。A会の理事就任予定者らは、本件通知の取消しを求めて提訴した。
あてはめ
まず、本件民間移管は建物譲渡や土地貸付等を内容とする契約の締結を予定しており、その性質上、地方自治法施行令167条の2第1項2号の随意契約によることができる。次に、指定管理者制度に関する条例は本件のような施設譲渡方式には適用されない。そうすると、本件募集は法令の定めに基づくものではなく、市が適当な契約相手方を選考するための私法上の準備行為としての手法にすぎない。したがって、本件通知は契約を締結しないという事実を告知するものにすぎず、公権力の行使として直接国民の法的地位を左右するものではない。
結論
本件通知は行政処分に当たらない。したがって、これに対する取消訴訟は不適法であり、却下されるべきである。
実務上の射程
地方公共団体が締結する契約の相手方選定プロセス(入札等)において、どの段階で処分性が認められるかを判断する際の重要な指標となる。法令に直接の根拠がない任意の公募手続は、私法上の行為に準じて解釈され、処分性が否定される傾向にあることを示している。
事件番号: 昭和25(オ)231 / 裁判年月日: 昭和26年10月16日 / 結論: その他
一 第一審判決を取り消し差し戻した第二審判決に対しては、直ちに上告することができる。 二 農地買収計画に関する訴願裁決について訴願人が再審議陳情をなしこれに対し訴願裁決庁が「昭和二三年一一月二九日附兵庫県農委第四八六別裁定書について元訴願人Bより再審議陳情ありたるも、その理由認め難く前決定のとおり買収すべきものとするも…