道路交通法一二七条一項の規定に基づく反則金の納付の通告は、抗告訴訟の対象とならない。
道路交通法一二七条一項の規定に基づく反則金の納付の通告と抗告訴訟
道路交通法127条1項,行政事件訴訟法3条2項
判旨
交通反則告知・通告制度における警察本部長の通告は、任意に反則金を納付しない場合には刑事手続に移行し、その中で事実関係を争う機会が保障されているため、抗告訴訟の対象となる処分性を有しない。
問題の所在(論点)
道路交通法127条1項に基づく警察本部長の反則金納付の通告が、行政事件訴訟法上の抗告訴訟の対象となる「処分」に該当するか。
規範
行政庁の行為が抗告訴訟の対象となる「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」(行政事件訴訟法3条2項)に当たるというためには、その行為が直接国民の権利義務を形成し、またはその範囲を確定することが法律上認められているものでなければならない。交通反則通告制度は、大量の交通違反事件を迅速に処理するための特例手続であり、通告自体によって反則金の納付が義務付けられるものではなく、本人の自由意思による納付を待って公訴を提起しないという効果を生じさせるものにすぎない。
重要事実
上告人は、道路交通法違反行為をしたとして、警察官から反則行為の告知(同法126条1項)を受け、その後、警察本部長から反則金の納付の通告(同法127条1項)を受けた。上告人は、当該通告は行政事件訴訟法上の処分に該当し、不当であるとして、その取消しを求めて提訴した。
あてはめ
道路交通法上の通告を受けても、反則金を納付すべき法律上の義務が生ずるわけではなく、納付は本人の自由な意思に委ねられている。納付しない場合には、検察官による公訴提起により通常の刑事手続が開始されるが、そこにおいて通告の理由となった事実の有無等を審判する途が十分に開かれている。したがって、通告自体の適否を争うために抗告訴訟を認める必要性はなく、これを認めると刑事手続と行政訴訟手続の不当な輻輳を招く。以上の制度設計に照らせば、通告は国民の権利義務を直接確定する行為とはいえない。
結論
道路交通法127条1項の規定による通告に対する取消訴訟は不適法であり、却下されるべきである。
実務上の射程
本判決は、後続の手続(刑事手続)で防御の機会が保障されている場合には、先行する行政上の通知や勧告の処分性を否定する論理として、他の行政不服申立てや処分の性質決定においても参照される。司法試験においては「処分性」の判断枠組みの中で、法律上の義務の存否や後続手続での救済の有無を論じる際のリーディングケースとして用いる。
事件番号: 昭和37(オ)25 / 裁判年月日: 昭和37年9月18日 / 結論: 棄却
判決に当事者の主張の採用すべきものであるか否かに関する裁判所の意見がその理由とともに表明されている以上、それが正当であると否とに拘りなく、民訴法第四二〇条第一項九号所定の判断遺脱があるとはいえない。
事件番号: 平成17(行ヒ)397 / 裁判年月日: 平成20年9月10日 / 結論: 破棄自判
市町村の施行に係る土地区画整理事業の事業計画の決定は,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる。 (補足意見及び意見がある。)