市町村の施行に係る土地区画整理事業の事業計画の決定は,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる。 (補足意見及び意見がある。)
市町村の施行に係る土地区画整理事業の事業計画の決定と抗告訴訟の対象
土地区画整理法(平成17年法律第34号による改正前のもの)52条1項,土地区画整理法6条1項,土地区画整理法54条,行政事件訴訟法3条1項,行政事件訴訟法3条2項
判旨
土地区画整理事業の事業計画決定は、施行地区内の宅地所有者等の法的地位に直接的な影響を及ぼすものであり、抗告訴訟の対象となる行政処分(行政事件訴訟法3条2項)に当たると解するのが相当である。
問題の所在(論点)
土地区画整理事業の事業計画決定は、行政事件訴訟法3条2項にいう「行政庁の処分」に当たるか。
規範
行政処分とは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為をいう。一般的・抽象的な規範の定立等は原則として処分性を欠くが、特定の範囲の者に対し、その法的地位に直接的な影響を及ぼし、権利義務を具体的に制限する効果を有する場合には、処分性が認められる。また、後の個別的処分を待って争わせることが権利救済として不十分であり、当該段階で訴訟を認める合理的理由があるか否かも考慮される。
重要事実
本案の原告らは、土地区画整理事業(本件事業)の施行地区内に土地を所有する者である。本件事業の事業計画決定(本件決定)がなされると、施行地区内の土地につき、建築行為や土地の形質変更が許可制となり(制限の発生)、将来的に換地処分を受けるべき地位に立たされる。原告らは本件決定の違法を主張し、その取消しを求めて提訴した。
あてはめ
第一に、事業計画決定により、施行地区内の土地所有者等は建築制限等の具体的な公法上の義務を負わされる。第二に、決定によって土地所有者等は「換地処分を受けるべき地位」という法的地位に直接立たされる。これは一般的・抽象的な影響にとどまるものではない。第三に、後の換地処分まで争うのを待つことは、既に生じた建築制限や事業の進行による実効的な救済の困難を招く。したがって、本件決定は土地所有者等の法的地位に直接的な影響を及ぼすものといえる。
結論
事業計画決定は、土地所有者等の法的地位に直接的な影響を及ぼす公権力の行使であり、行政処分に当たる。
実務上の射程
本判決は、かつての否定判例(最判昭41・2・23)を変更した重要判例である。都市計画決定等の一般的施策と、土地区画整理事業のように具体的な権利制限を伴う段階との境界線を示す際、答案上では「法的地位への直接的影響」と「紛争の早期解決の必要性(救済の直截性)」の観点から論じるべきである。
事件番号: 昭和30(オ)627 / 裁判年月日: 昭和33年7月25日 / 結論: 棄却
一 土地改良法第八条第四項による書類の縦覧期間が法定の二〇日間に満たなくても、満一〇日間縦覧期間が存した以上、同法第一〇条第一項によつてした知事の土地改良区設立認可は当然無効ではない。 二 知事がした土地改良区設立認可が違法であつても、事業実施の経過に照らし、右認可を取り消すことにより、多数の農地、多数の人について生じ…