死刑の量刑が維持された事例(茨城の老女連続強盗殺人等事件)
判旨
被告人が強盗の目的で二人の被害者の住宅に侵入し、それぞれに対し頸部を圧迫するなどの暴行を加えて殺害し、現金を強取した事案において、死刑の選択がやむを得ないとされた事例。
問題の所在(論点)
強盗殺人罪等の罪責を負う被告人に対し、死刑を適用することが刑法11条および刑事訴訟法411条等の観点から是認されるか。特に、被害者が二名である事案における量刑判断の妥当性が問題となる。
規範
死刑の適用については、犯行の罪質、動機、態様、特に殺意の強弱、執拗性、残虐性、結果の重大性、特に殺害された被害者の数、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等、諸般の事情を併せ考察し、その罪責が誠に重大であって、罪刑の均衡の見地からも一般予防の見地からも極めてやむを得ない場合に限って許される。
重要事実
被告人は、金員を強取する目的で二度にわたり住宅に侵入した。第一の事件では、被害者の頸部を両手で強く絞めて殺害し、第二の事件では、別の被害者の頸部をタオルで絞め付けて殺害した。被告人は、いずれの事件においても確実な殺意をもって犯行に及んでおり、短期間のうちに強盗殺人罪を二度繰り返したものである。
あてはめ
本件では、被告人が強盗の目的を遂げるために、確実な殺意に基づき、短期間に二人の尊い生命を奪った事象が極めて重い。犯行の動機は身勝手であり、殺害の態様も頸部圧迫という執拗なものであって、結果は重大である。被告人の反省の情や知能の程度など、被告人のために汲むべき情状を十分に考慮したとしても、本件の罪責は誠に重大であるといえる。したがって、第一審の死刑判決を維持した控訴審の判断は、罪刑の均衡や一般予防の観点から、やむを得ないものとして是認される。
結論
事件番号: 平成16(あ)2170 / 裁判年月日: 平成19年11月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】強盗強姦・強盗殺人等の事案において、周到な準備に基づく確定的犯意、冷酷な殺害方法、遺族の峻烈な処罰感情、及び常習性を考慮し、第一審の死刑判決を是認した。 第1 事案の概要:被告人は共犯者と共謀し、3週間のうちに2名の女性を強姦または強姦未遂の上、ベルトでの絞殺や水没による窒息死という凄惨な方法で殺…
被告人の罪責は極めて重大であり、死刑の選択はやむを得ない。本件上告を棄却する。
実務上の射程
死刑選択の判断基準(いわゆる永山基準)に基づき、二名の被害者を出した強盗殺人事件において、殺意の強固さや動機の利欲性を重視して死刑を是認した判断枠組みを提示している。
事件番号: 平成2(あ)1110 / 裁判年月日: 平成8年12月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択に当たっては、犯行の罪質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、前科、犯行後の情状等を総合的に考慮し、その罪責が誠に重く、やむを得ない場合に認められる。自首や反省等の被告人に有利な事情を考慮しても、犯行の計画性や残虐性が著しい場合には死刑判決を是認できる。 第1 事案の概…
事件番号: 平成19(あ)946 / 裁判年月日: 平成22年1月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】強盗殺人等の罪を犯した被告人に対し、殺害が計画的でないことや自白・謝罪等の事情を考慮しても、犯行の経緯、動機、態様の残虐性、結果の重大性に鑑みれば、極めて重大な刑事責任を免れず、死刑の科刑は免れない。 第1 事案の概要:被告人は、借金返済や逃亡中の生活費に窮し、短期間のうちに2件の強盗殺人および強…
事件番号: 平成28(あ)1889 / 裁判年月日: 令和元年7月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】金銭目的で強盗殺人と強盗殺人未遂を繰り返した事案において、周到な準備に基づく強固な殺意、結果の重大性、被害者遺族の峻烈な処罰感情に鑑みれば、若年であったこと等の事情を考慮しても死刑の選択はやむを得ない。 第1 事案の概要:被告人は、共犯者と共謀の上、(1)強盗目的でA方に侵入し、妻Bを絞殺後に帰宅…
事件番号: 昭和62(あ)192 / 裁判年月日: 平成2年12月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択については、犯行の罪質、動機、態様、結果、遺族の被害感情、社会的影響、被告人の年齢、前科、犯行後の情状などの諸要素を総合考慮し、その刑の選択がやむを得ないと認められる場合に許される。 第1 事案の概要:被告人は、強盗殺人罪により無期懲役に処せられ、仮出獄中の身であった。被告人は、居直り強…