死刑の量刑が維持された事例(大和市の主婦連続強盗殺人事件)
判旨
強盗強姦・強盗殺人等の事案において、周到な準備に基づく確定的犯意、冷酷な殺害方法、遺族の峻烈な処罰感情、及び常習性を考慮し、第一審の死刑判決を是認した。
問題の所在(論点)
強盗殺人、強盗強姦等の複数の重大犯罪を犯した被告人に対し、死刑を選択することが量刑の均衡および永山基準の観点から相当といえるか。
規範
死刑の選択に当たっては、犯行の性質、動機、態様(特に殺害方法の執拗性・残虐性)、結果の重大性(殺害された被害者の数)、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等を総合的に考慮し、その罪責が極めて重大であって、罪罰の均衡、一般予防の観点からもやむを得ない場合に認められる(永山基準の枠組みを前提とする)。
重要事実
被告人は共犯者と共謀し、3週間のうちに2名の女性を強姦または強姦未遂の上、ベルトでの絞殺や水没による窒息死という凄惨な方法で殺害し、金品を強取した(第1・第2事案)。また、単独で知人女性を強姦し、多額の現金を強取・窃取した(第3事案)。被告人には強盗強姦等の懲役前科があり、本件犯行には常習性が認められた。他方で、共犯者は無期懲役が確定しており、被告人は一部反省の情を示していた。
あてはめ
まず、犯行態様は当初から強盗強姦・強盗殺人の確定的犯意に基づき、周到な準備の上で敢行されたものであり、極めて凶悪である。結果についても、2名の尊い命が失われ家庭を崩壊させた点は重大である。遺族の処罰感情も峻烈を極める。次に、地域社会への衝撃や、同種前科があることから認められる顕著な常習性も被告人に不利益な事情となる。共犯者が無期懲役であることや被告人の反省等の有利な事情を考慮しても、その刑事責任は極めて重大であるといえる。
結論
事件番号: 平成19(あ)97 / 裁判年月日: 平成22年10月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人が強盗の目的で二人の被害者の住宅に侵入し、それぞれに対し頸部を圧迫するなどの暴行を加えて殺害し、現金を強取した事案において、死刑の選択がやむを得ないとされた事例。 第1 事案の概要:被告人は、金員を強取する目的で二度にわたり住宅に侵入した。第一の事件では、被害者の頸部を両手で強く絞めて殺害し…
被告人の刑事責任は極めて重大であり、第一審の死刑判決を維持した原判決は相当であって、死刑の科刑は是認せざるを得ない。
実務上の射程
被害者が2名の場合であっても、犯行の態様が執拗・残虐であり、かつ強盗強姦という重大な性質を併せ持つ場合には、永山基準に照らし死刑が選択される可能性が高いことを示す事例である。共犯者との刑の均衡(本件では共犯者は無期懲役)についても、主導的立場や前科関係によって差異が生じ得る点に留意が必要である。
事件番号: 平成9(あ)655 / 裁判年月日: 平成11年11月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択は、犯行の罪質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等の諸般の事情を総合的に考察し、極刑がやむを得ないと認められる場合に許される。被害者が1名であっても、これらの情状により死刑が相当となる場合があるが、本件では殺害の計画性の程度や前科の性質…
事件番号: 平成13(あ)1401 / 裁判年月日: 平成17年6月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】強盗殺人等の極めて重大な罪を犯した被告人に対し、犯行の態様が冷酷かつ残忍で結果が甚大であり、前科関係や動機にも酌むべき点がない場合、不遇な成育歴等の事情を考慮しても、死刑の選択は免れない。 第1 事案の概要:被告人は、約半月の間にスナック等の女性経営者計4名を窒息死または失血死させて現金を強奪する…
事件番号: 平成20(あ)552 / 裁判年月日: 平成23年3月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】判例(最判昭和58年7月8日等参照)に基づき、死刑選択の許容性を判断する基準を提示する。 第1 事案の概要:本件において、被告人ら3名は、以前から人命を軽視するような生活態度をとっていた。本件犯行は、犯行の隠蔽や逃走資金の確保といった身勝手な動機に基づくものである。犯行態様は極めて残虐かつ執拗であ…
事件番号: 平成7(あ)388 / 裁判年月日: 平成12年2月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の適用は、犯罪の性質、動機、態様、結果の重大性、被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等を総合的に考慮し、罪責が極めて重大で、極刑がやむを得ないと認められる場合に許される。確定判決を挟む複数の犯行がある場合、それらを個別に処断しつつも、犯行の経緯や関連性を量刑上考慮すべきである。…