保釈の請求に関する準抗告決定(原裁判取消し,保釈許可)に対する検察官からの特別抗告が棄却された事例
刑訴法411条,刑訴法426条1項,刑訴法434条
判旨
裁量保釈の適否について、公訴事実とされた犯罪事実の性質等に照らし不適切な点があり得るとしても、著しく正義に反すると認められない限りは原決定を維持すべきである。
問題の所在(論点)
刑訴法90条に基づく裁量保釈の許可決定に対し、犯罪事実の性質等に照らして不適切な点がある場合、刑訴法411条を準用してこれを取り消すべきか。
規範
裁量保釈(刑訴法90条)の許否の判断において、公訴事実の性質、被告人の境遇、証拠隠滅の恐れ等の諸事情を総合考慮した原判決に不適切な点が含まれていたとしても、それが刑訴法411条を準用して破棄すべき「著しく正義に反する」と認められる事由に当たらない限り、上訴審がこれを取り消すことはできない。
重要事実
被告人が勾留されている公訴事実について、原決定が裁量により保釈を許可したところ、検察官側が犯罪事実の性質等を理由に不服を申し立て、抗告審においてその裁量判断の妥当性が争われた事案。
あてはめ
本件勾留に係る公訴事実の性質等に照らせば、裁量により保釈を許可した原決定には問題がないとはいえない。しかし、諸般の事情を考慮した結果、いまだ刑訴法411条を準用して破棄すべき(著しく正義に反する)ほどの重大な違法があるとは認められない。
事件番号: 平成24(し)534 / 裁判年月日: 平成24年10月26日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】権利保釈除外事由(刑訴法89条)が存在する場合でも、被告人が事実を認めて証拠調べが実質的に終了し、親族の監督や転居・カウンセリング受診などの環境が整っていれば、職権保釈(90条)を認めた原々審の判断は裁量の範囲内として適法である。 第1 事案の概要:12歳の女児に対する強制わいせつ被告事件。被告人…
結論
本件裁量保釈の許可決定は、内容に不適切な点があるとしても、直ちに破棄されるべき違法とまではいえず、維持される。
実務上の射程
裁量保釈の適否に関する上訴審の審査密度を示す。犯罪の性質上、保釈が慎重に検討されるべき事案であっても、下級審の裁量判断は広く尊重され、刑訴法411条準用の高いハードルが課されることを示唆している。
事件番号: 昭和52(し)27 / 裁判年月日: 昭和52年4月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】保釈却下事由である「罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由」の認定において、被告人の否認という態度そのものではなく、供述内容の食い違い等の客観的状況から関係者への働きかけの蓋然性を推認することは、憲法38条1項に違反しない。 第1 事案の概要:被告人が公訴事実を否認している状況において、下級審(原…
事件番号: 平成17(し)110 / 裁判年月日: 平成17年3月9日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】被告人に前科がなく、受験が目前に迫る等の身上事情がある場合、共犯者の供述や本人の自白等の証拠関係に照らしても、保釈却下は裁量権の逸脱であり、職権による保釈(刑訴法90条)を認めるべきである。 第1 事案の概要:被告人は大麻約1.153グラムの共謀所持の罪で起訴された。共犯者Aが被告人との共謀を供述…
事件番号: 平成27(し)223 / 裁判年月日: 平成27年4月15日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】裁量保釈の許否に関する第1審の判断が不合理とはいえない場合、抗告審がこれを裁量の範囲外として取り消すことは刑訴法90条等の解釈適用を誤る違法がある。 第1 事案の概要:被告人は予備校理事長で、生徒に対し準強姦(わいせつ行為)を行ったとして起訴された。第2回公判で検察側立証の中核である被害者の尋問が…
事件番号: 平成14(し)218 / 裁判年月日: 平成14年8月19日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】被告人に前科がなく、安定した社会生活を営んでおり、被害者との示談が成立している等の事情がある場合、裁量保釈を否定して保釈請求を却下することは、刑訴法90条の解釈適用を誤った裁量権の逸脱として取り消されるべきである。 第1 事案の概要:被告人は相被告人と共謀し、サーフィン中にボードが接触した被害者に…