抗告人と相手方との間において,抗告後に,抗告事件を終了させることを合意内容に含む裁判外の和解が成立した場合には,当該抗告は,抗告の利益を欠く。
抗告事件を終了させることを合意内容に含む裁判外の和解と抗告の利益
民法695条,民訴法第3編第3章 抗告
判旨
裁判上の和解が成立した場合には、その内容に錯誤等の無効事由がある場合を除き、当該和解の成立をもって訴訟は当然に終了し、民事訴訟法267条に基づき確定判決と同一の効力を有する。
問題の所在(論点)
裁判上の和解が成立したといえる状況において、当事者が和解の成立を否定して訴訟の継続を求めた場合、訴訟は終了したとみなされるか。和解成立による訴訟終了の効力が問題となる。
規範
裁判上の和解(民事訴訟法267条)が成立したときは、和解内容が公序良俗に反する等の特段の事情がない限り、当然に訴訟は終了する。和解の意思表示に瑕疵がある等の理由で和解が無効とされるべき特段の事情がない限り、和解の成立後に訴訟を継続させることは許されない。
重要事実
上告人の訴訟代理人と相手方(被上告人)の間で、和解金額を1050万円とする内容の和解が成立した。その後、上告人側は和解が成立していない、あるいは和解に不服がある旨を主張して訴訟の継続を求めたが、原審は和解の成立を認めて訴訟の終了を宣言した。
事件番号: 平成17(許)14 / 裁判年月日: 平成17年10月11日 / 結論: 破棄差戻
相続が開始して遺産分割未了の間に相続人が死亡した場合において,第2次被相続人が取得した第1次被相続人の遺産についての相続分に応じた共有持分権は,実体上の権利であって第2次被相続人の遺産として遺産分割の対象となり,第2次被相続人から特別受益を受けた者があるときは,その持戻しをして具体的相続分を算定しなければならない
あてはめ
本件では、上告人の代理人と相手方との間で、金額等の具体的な条件に合意がなされ、裁判所において和解が成立している。上告人側は和解成立を争うが、和解が成立したこと自体に合理的な疑いを入れる余地はなく、また和解の内容に無効事由があるなどの特段の事情も認められない。したがって、和解成立により本案訴訟は当然に終了したと解される。
結論
本件訴訟は裁判上の和解の成立によって当然に終了しており、原審が訴訟終了を認めた判断は正当である。上告を棄却する。
実務上の射程
裁判上の和解の確定判決同一効(民訴法267条)を確認する事例。実務上、和解成立後に不服を申し立てるには、再審の訴えに準じた和解無効の主張が必要であり、単なる心変わりによる訴訟継続は認められないことを示す。
事件番号: 令和1(し)807 / 裁判年月日: 令和2年2月25日 / 結論: 棄却
高等裁判所がした控訴取下げを無効と認め訴訟手続を再開・続行する旨の決定に対しては,これに不服のある者は,3日以内にその高等裁判所に異議の申立てをすることができる。
事件番号: 昭和44(し)7 / 裁判年月日: 昭和47年10月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の本案事件(控訴審)を担当した裁判官が、同一事件の再審請求事件の抗告審に関与したとしても、憲法37条1項にいう「公平な裁判所」による裁判を妨げるものではない。 第1 事案の概要:申立人らは監禁・強要事件の被告人であった者であり、その控訴審判決が確定した後に再審請求を行った。本件再審請求事件の…
事件番号: 平成15(許)21 / 裁判年月日: 平成15年11月13日 / 結論: 破棄差戻
1 各相続人への審判の告知の日が異なる場合における遺産の分割の審判に対する即時抗告期間は,相続人ごとに各自が審判の告知を受けた日から進行する。 2 各相続人への審判の告知の日が異なる場合における遺産の分割の審判に対する即時抗告期間については,告知を受けた日のうち最も遅い日から全員について一律に進行するとの見解に基づく取…
事件番号: 平成27(許)11 / 裁判年月日: 平成28年12月19日 / 結論: 破棄差戻
共同相続された普通預金債権,通常貯金債権及び定期貯金債権は,いずれも,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはなく,遺産分割の対象となる。 (補足意見及び意見がある。)