高等裁判所がした控訴取下げを無効と認め訴訟手続を再開・続行する旨の決定に対しては,これに不服のある者は,3日以内にその高等裁判所に異議の申立てをすることができる。
高等裁判所がした控訴取下げを無効と認め訴訟手続を再開・続行する旨の決定に対する不服申立ての可否
刑訴法359条,刑訴法422条,刑訴法428条2項,刑訴法428条3項,刑訴法433条1項
判旨
控訴取下げを無効と認め控訴審の訴訟手続を再開・続行する旨の決定に対しては、刑事訴訟法428条2項、3項等の準用により、3日以内にその高等裁判所に異議の申立てをすることができる。
問題の所在(論点)
控訴取下げを無効として訴訟手続を再開・続行する旨の決定に対し、不服申立ての手段が認められるか。また、同決定が刑訴法433条1項にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」に該当するか。
規範
控訴取下げを無効と認め控訴審の訴訟手続を再開・続行する旨の決定がなされた場合、その決定の性質に照らし、これに不服のある者は、3日以内にその高等裁判所に対して異議の申立てをすることができると解するのが相当である(刑訴法428条2項、3項、422条参照)。
重要事実
被告人は死刑判決を受け、第1審弁護人と被告人が控訴を申し立てた。その後被告人が控訴を取り下げたが、控訴審弁護人は控訴取下げは無効であるとして審理継続を求めた。大阪高等裁判所は、事実取調べの上、控訴取下げを無効と認め控訴審の訴訟手続を再開・続行する旨の決定をした。これに対し、特別抗告がなされた。
事件番号: 昭和61(し)44 / 裁判年月日: 昭和61年6月27日 / 結論: 棄却
高等裁判所がした控訴取下による訴訟終了宣言の決定に対しては、これに不服のある者は、三日以内にその高等裁判所に異議の申立をすることができる。
あてはめ
判例は、控訴取下げの効力を否定し手続を続行する決定の性質に着目し、刑訴法428条等の規定を準用・参照することで、高等裁判所に対する異議申立てという不服申立て経路を認めた。これにより、当該決定は「法律により不服を申し立てることができない決定」には当たらないと評価される。本件では、直接特別抗告を申し立てているが、前述の通り異議申立ての道が開かれている以上、特別抗告の要件を欠くこととなる。
結論
本件抗告は、刑訴法433条1項の「不服を申し立てることができない決定」に対するものではないため、不適法として棄却される。
実務上の射程
控訴取下げの有効性が争われる場面において、裁判所が取下げを無効と判断し手続を続行する場合の救済手続を明示した。答案上は、特別抗告の適法性を論じる際や、控訴取下げの取消し・無効に関する手続的救済の文脈で使用する。
事件番号: 昭和28(し)100 / 裁判年月日: 昭和29年2月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】高等裁判所が抗告審としてした決定に対しては、刑事訴訟法427条により再抗告ができないため、同法428条2項及び3項の異議申立てを認める余地はなく、かかる不適法な申立ては特別抗告の対象となり得ない。 第1 事案の概要:申立人は、大分地裁による再審請求棄却決定に対し即時抗告をしたが、福岡高裁から期間経…
事件番号: 昭和57(し)26 / 裁判年月日: 昭和57年3月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する特別抗告(刑訴法433条)は、対象となる決定又は命令に対し、法上他に不服を申し立てることができない場合に限り許容される。 第1 事案の概要:申立人は、原決定に対し、刑訴法419条および421条に基づき、高等裁判所に対して通常の抗告をすることが可能な状況にあった。しかし、申立人は通…
事件番号: 昭和28(し)104 / 裁判年月日: 昭和29年4月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】高等裁判所が抗告審としてした決定に対しては、刑事訴訟法427条により再抗告ができないため、同法428条2項および3項の異議申立ての規定を適用する余地はなく、当該異議申立ては不適法である。 第1 事案の概要:申立人は、大分地方裁判所による再審請求棄却決定に対し即時抗告をしたが、福岡高等裁判所は即時抗…
事件番号: 平成25(し)726 / 裁判年月日: 平成26年1月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】再審請求事件の手続終了決定に対する特別抗告において、単なる法令違反を主張するものは、刑事訴訟法応急措置法18条所定の適法な抗告理由には当たらない。 第1 事案の概要:再審請求事件の手続終了決定に対し、抗告人が特別抗告を申し立てた事案である。抗告人は、原決定に法令違反がある旨を主張して抗告の理由とし…