1 各相続人への審判の告知の日が異なる場合における遺産の分割の審判に対する即時抗告期間は,相続人ごとに各自が審判の告知を受けた日から進行する。 2 各相続人への審判の告知の日が異なる場合における遺産の分割の審判に対する即時抗告期間については,告知を受けた日のうち最も遅い日から全員について一律に進行するとの見解に基づく取扱いが実務上相当広く行われており,この取扱いを前提とする趣旨の裁判所書記官の回答に基づいて相続人全員に対する告知が完了した日から2週間以内に即時抗告がされたなど判示の事情の下では,遺産の分割の審判の告知を受けた相続人がその告知の日から2週間を経過した後にした即時抗告は,適法である。
1 各相続人への審判の告知の日が異なる場合における遺産の分割の審判に対する即時抗告期間 2 即時抗告期間経過後にされた遺産の分割の審判に対する即時抗告が適法とされた事例
家事審判法7条,家事審判法9条1項乙類10号,家事審判法14条,家事審判規則17条,家事審判規則111条,非訟事件手続法22条
判旨
遺産分割等の審判に対する即時抗告期間は、相続人ごとに各自が告知を受けた日から進行するが、実務上の運用や裁判所書記官の教示を信頼して期間を徒過した場合には、「責めに帰することのできない事由」による追完が認められる。
問題の所在(論点)
遺産分割の審判に対する即時抗告期間の起算点(家事審判規則111条等)、及び裁判所書記官の誤った教示を信頼して期間を徒過した場合における「責めに帰することのできない事由」(非訟事件手続法22条前段)の成否。
規範
遺産分割の審判は、相続人全員について合一にのみ確定すべきものであるが、各相続人は審判の告知により内容を了知し各自で即時抗告の判断ができるため、即時抗告期間は相続人ごとに各自が審判の告知を受けた日から進行する。もっとも、先例がなく実務上の取扱いが分かれている状況下で、裁判所側の言動等により期間を遵守できなかった特段の事情がある場合には、非訟事件手続法上の追完(責めに帰することのできない事由による期間徒過)が認められ得る。
事件番号: 平成12(許)42 / 裁判年月日: 平成13年3月23日 / 結論: 破棄差戻
破産宣告決定の送達を受けた破産者の同決定に対する即時抗告期間は,同決定の公告のあった日から起算して2週間である。
重要事実
共同相続人である抗告人は、平成14年4月2日に遺産分割審判の告知を受けたが、全員への告知が完了したのは同月8日であった。抗告人が原々審の裁判所書記官に問い合わせた際、書記官は「全員への告知が完了した4月8日から期間が進行する」旨の実務上の取扱いに基づく回答をした。抗告人はこの回答を信頼し、同月22日(自らの告知日から2週間経過後、書記官教示の起算点からは2週間以内)に即時抗告を申し立てた。
あてはめ
本件即時抗告は抗告人自身の告知日から2週間を経過しており原則として不適法である。しかし、当時(1)期間の起算点に関する最高裁判例がなく、最後に告知を受けた者から一律に進行すると解する実務が広く行われていたこと、(2)抗告人が裁判所書記官に対し起算点を問い合わせ、上記実務に基づく回答を得ていたこと、(3)当該回答を信頼して期間内に申し立てたことが認められる。これらの事情の下では、期間の徒過は抗告人の責めに帰することのできない事由によるものと評価できる。
結論
即時抗告期間は相続人ごとに進行するが、本件では書記官の教示を信頼したことに正当な理由があり、訴訟行為の追完が認められるため、即時抗告を却下した原決定は破棄される。
実務上の射程
手続の合一確定が必要な審判であっても、抗告期間の起算点は「個別進行」であることを明言した点に意義がある。答案上は、制度趣旨(手続の明確性)から規範を導きつつ、具体的事案では裁判所側の過誤や信頼保護の観点から「責めに帰すべからざる事由」を柔軟に認める調整弁として本判例を活用すべきである。
事件番号: 昭和45(ク)213 / 裁判年月日: 昭和46年4月15日 / 結論: 却下
補正命令によつて訴状の補正を命じられた者が補正期間の延長を申し出た場合に、申出を容れて延長するかどうかは裁判長の職権による裁量に委ねられる。
事件番号: 平成17(許)14 / 裁判年月日: 平成17年10月11日 / 結論: 破棄差戻
相続が開始して遺産分割未了の間に相続人が死亡した場合において,第2次被相続人が取得した第1次被相続人の遺産についての相続分に応じた共有持分権は,実体上の権利であって第2次被相続人の遺産として遺産分割の対象となり,第2次被相続人から特別受益を受けた者があるときは,その持戻しをして具体的相続分を算定しなければならない
事件番号: 平成20(ク)1193 / 裁判年月日: 平成21年9月30日 / 結論: 棄却
民法900条4号ただし書前段は,憲法14条1項に違反しない。 (補足意見及び反対意見がある。)
事件番号: 平成13(行フ)1 / 裁判年月日: 平成14年2月12日 / 結論: 棄却
行政事件訴訟法22条1項の規定により第三者を訴訟に参加させる決定に対して即時抗告をすることは許されない。