民法900条4号ただし書前段は,憲法14条1項に違反しない。 (補足意見及び反対意見がある。)
民法900条4号ただし書前段と憲法14条1項
憲法14条1項,民法900条
判旨
非嫡出子の相続分を嫡出子の2分の1とする民法900条4号ただし書前段の規定は、平成12年当時の社会情勢や国際的環境に照らし、憲法14条1項に違反しない。
問題の所在(論点)
平成12年当時の社会情勢等に照らし、非嫡出子の法定相続分を嫡出子の2分の1と定める民法900条4号ただし書前段(本件規定)が、憲法14条1項にいう「不合理な差別」に該当するか。
規範
法の下の平等を定める憲法14条1項は、事柄の性質に即応した合理的な根拠に基づくものでない限り差別的取扱いを禁止する。相続制度の設計は立法府の合理的裁量に委ねられるが、その区別が立法目的との関連で著しく不合理であり、裁量の限界を超えている場合には違憲となる。判断にあたっては、社会情勢の変動、家族観の変化、国際的環境等を総合的に考慮すべきである。
重要事実
被相続人は平成12年6月30日に死亡し、相続が開始した。相続人の中に嫡出子と非嫡出子が含まれていたため、民法900条4号ただし書前段(本件規定)に基づき、非嫡出子の法定相続分が嫡出子の2分の1として扱われた。これに対し、抗告人らは本件規定が憲法14条1項に違反すると主張して争った。
事件番号: 平成3(ク)143 / 裁判年月日: 平成7年7月5日 / 結論: 棄却
民法九〇〇条四号ただし書前段は、憲法一四条一項に違反しない。 (補足意見及び反対意見がある。)
あてはめ
本件規定の合憲性判断基準時は相続開始時の平成12年である。当時、法律婚の尊重と非嫡出子の保護の調整という立法目的には合理性があった。また、平成12年時点では、非嫡出子の出生割合の増加や諸外国の立法動向、国際勧告などの社会情勢の変化は進行しつつあったものの、本件規定による区別が直ちに立法府の裁量権の限界を超え、著しく不合理であると断定できるまでには至っていなかった。したがって、過去の判例(最高裁平成7年決定)を維持すべきである。
結論
本件規定は憲法14条1項に違反しない。よって、本件規定を適用して相続分を算定した原決定は妥当であり、抗告を棄却する。
実務上の射程
本決定は「合憲」の結論を維持しているが、補足意見や反対意見において社会情勢の変化(家族観の多様化、国際的潮流)が強調されており、後の平成25年大法廷決定(違憲判断)への過渡期に位置づけられる。答案上、平成25年決定後の事案では違憲が前提となるが、時系列的判断(基準時)の重要性を示す資料として有用である。
事件番号: 平成24(ク)984 / 裁判年月日: 平成25年9月4日 / 結論: 破棄差戻
1 民法900条4号ただし書前段の規定は,遅くとも平成13年7月当時において,憲法14条1項に違反していた。 2 民法900条4号ただし書前段の規定が遅くとも平成13年7月当時において憲法14条1項に違反していたとする最高裁判所の判断は,上記当時から同判断時までの間に開始された他の相続につき,同号ただし書前段の規定を前…
事件番号: 昭和39(ク)114 / 裁判年月日: 昭和41年3月2日 / 結論: 棄却
一 家事審判法第九条第一項乙類第一〇号の遺産の分割に関する処分の審判は、憲法第三二条、第八二条に違反しない。 二 家庭裁判所は、遺産の分割に関する処分の審判の前提となる相続権、相続財産等の権利関係の存否を、右審判中で、審理判断することができる。
事件番号: 昭和59(ク)100 / 裁判年月日: 昭和59年10月4日 / 結論: 棄却
遺産の分割に関する処分の審判に対する抗告審の決定は、当事者の審尋を経ないでされても、憲法三二条、八二条に違反しない。