補正命令によつて訴状の補正を命じられた者が補正期間の延長を申し出た場合に、申出を容れて延長するかどうかは裁判長の職権による裁量に委ねられる。
補正命令に対する補正期間の延長の申出と裁判長の職権
民訴法228条
判旨
訴状却下命令に対する補正期間の延長を認めるか否かは、裁判長の職権による裁量に委ねられており、これを認めなかったとしても直ちに違法の問題は生じない。また、訴訟救助の申立てが却下された場合、裁判所が相当な期間を定めて印紙貼用を命じるのは正当な措置である。
問題の所在(論点)
訴状却下命令の前置となる補正命令において、裁判長が補正期間の延長を認めなかったこと、および訴訟救助が認められない場合に印紙貼用を命じることが、裁判を受ける権利(憲法32条)等に抵触し、違法となるか。
規範
訴状の不備に対する補正命令(民事訴訟法137条1項参照)において、定められた補正期間を延長するか否かは、専ら裁判長の職権による裁量に委ねられる。また、訴訟救助の申立てが勝訴の見込みがないとして却下され確定した以上、裁判所が印紙貼用を命じること、及びこれに応じない場合に訴状を却下することは適法な手続である。
重要事実
抗告人は墓地登録変更等請求事件を提起したが、訴訟救助の申立てが「勝訴の見込みがない」として却下・確定された。第一審裁判所は抗告人に対し、相当の期間を定めて訴状への印紙貼用を命じる補正命令を出した。抗告人は補正期間の延長を申し出たが、裁判長はこれを認めず、訴状却下命令を発した。抗告人はこれを不服として、憲法14条、17条、25条、32条違反等を理由に特別抗告を申し立てた。
事件番号: 昭和44(し)19 / 裁判年月日: 昭和44年4月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人等による公訴棄却の申立ては、裁判所の職権発動を促すものにすぎず、これに対する却下決定は刑事訴訟法433条1項の特別抗告の対象とはならない。 第1 事案の概要:被告人側(あるいは抗告人)が、公訴棄却を求める申立てを行った。これに対し、裁判所が当該申立てを却下する旨の決定を下したため、申立人はこ…
あてはめ
まず、本案訴訟における訴訟救助の申立ては、勝訴の見込みを欠くとして既に却下確定している。したがって、第一審裁判所が印紙貼用を命じたことは適法な措置である。次に、補正期間の延長の可否について検討するに、期間の伸長(民事訴訟法94条参照)を認めるか否かは裁判長の職権による裁量事項である。本件において抗告人は、原決定(即時抗告棄却)に至るまでの間にも印紙貼用や郵券納付を行う機会があったにもかかわらず、これを行った形跡がない。以上から、期間延長を認めなかった裁判長の判断に裁量の逸脱・濫用は認められず、憲法違反の前提となる違法性自体が認められない。
結論
補正期間の延長は裁判長の裁量に属し、これを認めなかったことに違法はない。また訴訟救助が却下された後の印紙貼用命令も正当である。よって、特別抗告は不適法として却下される。
実務上の射程
訴状却下命令に関する裁判長の広範な裁量を認めた判例である。答案上は、訴状の審査権限(137条)の行使において、特段の事情がない限り期間延長の拒絶が直ちに違法とならないことを示す根拠として活用できる。
事件番号: 昭和26(ク)41 / 裁判年月日: 昭和26年5月16日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法上特に許容された場合に限られ、民事事件においては、原決定の憲法判断の不当を理由とする特別抗告(旧民訴法419条の2)のみがこれに当たる。 第1 事案の概要:抗告人は、何らかの裁判(詳細は判決文からは不明)に対し、最高裁判所へ抗告を申し立てた。しかし…
事件番号: 昭和25(ク)25 / 裁判年月日: 昭和26年6月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判の迅速が欠如し憲法37条2項(現行37条1項の趣旨を含む)に違反する場合であっても、それが裁判の結果に影響を及ぼさないことが明らかであれば、原決定を破棄する理由にはならない。 第1 事案の概要:抗告人は、原審までの裁判が迅速を欠いており、憲法37条2項(※注:文脈上、迅速な裁判の保障を指す。現…
事件番号: 昭和25(ク)144 / 裁判年月日: 昭和26年2月16日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法上特に許された場合に限られ、民事事件においては旧民訴法419条の2(現行336条1項)に規定する憲法判断の不当を理由とする抗告のみが認められる。 第1 事案の概要:抗告人が最高裁判所に対して民事事件の抗告を申し立てた事案。しかし、その抗告理由におい…
事件番号: 昭和28(ク)96 / 裁判年月日: 昭和28年6月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】下級裁判所の決定に対する最高裁判所への抗告の許否は原則として立法政策の裁量に委ねられており、違憲を理由とする場合を除き抗告を認めないとしても憲法に違反しない。 第1 事案の概要:抗告人は、高等裁判所の決定に対し、法令違反を理由とする抗告または再抗告の申し立てを認めないことは、憲法により保障された訴…