判旨
下級裁判所の決定に対する最高裁判所への抗告の許否は原則として立法政策の裁量に委ねられており、違憲を理由とする場合を除き抗告を認めないとしても憲法に違反しない。
問題の所在(論点)
高等裁判所の決定に対し、憲法違反以外の理由(単純な法令違反等)による抗告を認めない制度が、憲法上の権利(訴権等)を侵害し違憲となるか。
規範
下級裁判所の決定に対し最高裁判所への抗告を許すか否かは、憲法81条が規定する違憲審査権の行使に関わる場合を除き、基本的には審級制度の問題として広範な立法裁量に委ねられている。
重要事実
抗告人は、高等裁判所の決定に対し、法令違反を理由とする抗告または再抗告の申し立てを認めないことは、憲法により保障された訴権を侵害するものであり、当該申し立てを却下した原決定は違憲であると主張して、最高裁判所に抗告した。
あてはめ
憲法は、最高裁判所が終審裁判所として違憲審査を行うことを定めているが、それ以外の訴訟手続における審級構造をどのように構成するかは立法の合理的な判断に委ねられている。本件において、高等裁判所の決定に対し、違憲を理由とする場合(特別抗告)に限定して抗告の道を認める運用は、右の立法裁量の範囲内にあると解される。
結論
高等裁判所の決定について、違憲を理由とする場合のほか抗告の途がないものと解しても、何ら憲法に違反するものではない。
実務上の射程
裁判を受ける権利(憲法32条)や審級制の法的性質を論じる際の基礎となる判例である。司法試験においては、審級の構成が立法府の裁量に属することの根拠として引用可能であり、権利救済と手続の迅速・確定の要請との調和を示す文脈で用いる。
事件番号: 昭和28(ク)176 / 裁判年月日: 昭和28年9月4日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法において特別の定めがある場合に限られ、民事事件においては憲法適合性の判断に関する不服申し立て(特別抗告)のみが認められる。 第1 事案の概要:抗告人等が、下級審の決定に対して最高裁判所へ抗告を申し立てた。抗告人は、原決定(下級審の判断)が憲法に適合…
事件番号: 昭和26(ク)10 / 裁判年月日: 昭和26年5月24日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が民事事件の抗告について裁判権を有するのは、法律により特に許された場合に限られ、その抗告理由は原決定における憲法判断の不当性に限定される。 第1 事案の概要:抗告人が最高裁判所に対して抗告を申し立てた事案。抗告人が主張した抗告理由は、原決定において法律、命令、規則又は処分が憲法に適合する…
事件番号: 昭和26(ク)35 / 裁判年月日: 昭和26年5月21日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法上特に許された場合に限られ、民事事件においては、原決定の憲法適合性に関する判断の不当を理由とする場合に限定される。 第1 事案の概要:抗告人が最高裁判所に対して抗告を申し立てた事案であるが、その抗告理由は、原決定における憲法解釈の不当を指摘するもの…
事件番号: 昭和31(ク)111 / 裁判年月日: 昭和31年5月18日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法上特に許容された場合に限られ、民事事件においては旧民訴法419条の2(現行民訴法336条)に規定する特別抗告の場合に限定される。 第1 事案の概要:抗告人は、裁判官の忌避の原因につき疎明がないとした原審の判断を不服として、最高裁判所に抗告を申し立て…
事件番号: 昭和25(ク)134 / 裁判年月日: 昭和26年10月27日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告は、法律により特に許された場合に限り認められ、民事事件においては憲法違反の判断を不当とする場合に限定される。実質的な憲法違反の主張を伴わない抗告は、不適法として却下される。 第1 事案の概要:抗告人は、最高裁判所に対し、原決定を不服として抗告を申し立てた。抗告理由は、書面上は…