権利能力のない社団を債務者とする金銭債権を有する債権者が,当該社団の構成員全員に総有的に帰属する不動産に対して仮差押えをする場合において,上記不動産につき,当該社団のために第三者がその登記名義人とされているときは,上記債権者は,仮差押命令の申立書に,上記不動産が当該社団の構成員全員の総有に属する事実を証する書面を添付して,当該社団を債務者とする仮差押命令の申立てをすることができ,上記書面は,強制執行の場合とは異なり,上記事実を証明するものであれば足り,必ずしも上記不動産が当該社団の構成員全員の総有に属することを確認する旨の上記債権者と当該社団及び上記登記名義人との間の確定判決その他これに準ずる文書であることを要しない。
権利能力のない社団を債務者とする金銭債権を有する債権者が,当該社団の構成員全員に総有的に帰属し,当該社団のために第三者がその登記名義人とされている不動産に対して仮差押えをする場合における申立ての方法
民法33条,民訴法29条,民事保全法20条,民事保全法21条,民事保全規則20条
判旨
権利能力のない社団の構成員に総有的に帰属する不動産につき第三者が登記名義人である場合、当該社団を債務者とする仮差押命令の申立てにおいて添付すべき「総有に属する事実を証する書面」は、強制執行の場合とは異なり、確定判決等であることを要しない。
問題の所在(論点)
権利能力のない社団を債務者とする金銭債権に基づき、第三者名義の構成員総有不動産を仮差し押さえる際、不動産が債務者の総有に属することを証する書面として、強制執行時と同様の「確定判決等」が必要か。
規範
権利能力のない社団を債務者とする金銭債権につき、第三者名義の構成員総有不動産に対して仮差押えをする場合、債権者は民事保全規則20条1号イに準じ、当該不動産が社団の構成員全員の総有に属する事実を証する書面を添付して申し立てることができる。この書面は、当該事実を証明するものであれば足り、必ずしも確定判決その他これに準ずる文書であることを要しない。
事件番号: 平成14(許)23 / 裁判年月日: 平成15年1月31日 / 結論: 破棄自判
特定の目的物について既に仮差押命令を得た債権者は,これと異なる目的物について更に仮差押えをしなければ,金銭債権の完全な弁済を受けるに足りる強制執行をすることができなくなるおそれがあるとき,又はその強制執行をするのに著しい困難を生ずるおそれがあるときには,既に発せられた仮差押命令と同一の被保全債権に基づき,異なる目的物に…
重要事実
債権者である抗告人は、権利能力のない社団である相手方に対し貸金債権等を有していた。本件不動産は、相手方のために第三者が登記名義人となっていたが、実態は相手方構成員の総有に属するものであった。抗告人は、相手方及び登記名義人を被告として総有確認訴訟を提起し勝訴(未確定)した上で、当該不動産への仮差押えを申し立て、添付資料として同訴訟の判決書写し等を提出した。原審は、強制執行に関する判例(最決平22.6.29)を類推し、確定判決等の添付がないことを理由に申立てを却下した。
あてはめ
強制執行の場合に確定判決等を要するのは、権利の喪失や登記の抹消という重大な法的効果が生じるため、権利関係の高度な確実性が求められるからである。これに対し、仮差押えは金銭債権の執行を保全する制度であり、仮に執行されても直ちに権利喪失等の不利益は生じない。むしろ、保全段階で確定判決等を要求すれば、判決取得までに財産が散逸するおそれがあり、債権保全が著しく困難となる。したがって、権利関係を証明するに足りる書面があれば、確定判決等までは不要と解するのが相当である。本件で添付された1審判決書写し等は、総有の事実を証明するに足りる余地が十分にある。
結論
仮差押申立てにおいて、総有の事実を証する書面は確定判決等であることを要しない。本件申立てを却下した原決定には法令の違反があるため、破棄・差し戻すべきである。
実務上の射程
権利能力のない社団の責任財産に対する執行準備段階(保全)での要件を緩和した射程を持つ。答案上は、社団の債務を理由とする執行対象の特定の問題として整理し、本判例を根拠に、保全段階では「証明するに足りる書面」で足りる一方、本案執行段階では「確定判決等」が必要となるという二段構えの規律を明示する際に活用する。
事件番号: 昭和23(ク)23 / 裁判年月日: 昭和23年9月1日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所への抗告は、訴訟法等により特にその権限に属すると定められた場合を除き、直接申し立てることはできない。 第1 事案の概要:抗告人が、訴訟上の手続(判決文からは具体的な事件の内容は不明)に関し、最高裁判所に対して直接抗告を申し立てた事案である。 第2 問題の所在(論点):訴訟法等に特別の規定…
事件番号: 令和5(許)9 / 裁判年月日: 令和5年10月6日 / 結論: 破棄差戻
1筆の土地の一部分についての所有権移転登記請求権を有する債権者が当該登記請求権を被保全権利として当該土地の全部について処分禁止の仮処分命令の申立てをした場合に、当該債権者において当該一部分について分筆の登記の申請をすることができない又は著しく困難であるなどの特段の事情が認められるときは、当該仮処分命令は、当該土地の全部…
事件番号: 昭和23(ク)25 / 裁判年月日: 昭和23年9月22日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所への抗告は、訴訟法が特に最高裁の権限と定める場合や、憲法上の判断の不当を理由とする場合に限られ、それ以外は不適法として却下される。 第1 事案の概要:抗告人は、原決定に対して最高裁判所への抗告を申し立てた。しかし、当該抗告申立書の内容を精査したところ、原決定においてなされた憲法上の判断の…