香港に赴任しつつ国内にも相応の日数滞在していた者が国外財産の贈与を受けた場合において,当該贈与を受けたのが上記赴任の開始から約2年半後のことであり,通算約3年半にわたる赴任期間中の約3分の2の日数を香港の居宅に滞在して過ごし,その間に現地での業務に従事していたなど判示の事実関係の下では,上記期間中の約4分の1の日数を国内の居宅に滞在して過ごし,その間に国内での業務に従事していた上,贈与税回避の目的の下に国内での滞在日数が多くなりすぎないよう調整していたとしても,その者は,当該贈与を受けた時において,相続税法(平成15年法律第8号による改正前のもの)1条の2第1号所定の贈与税の課税要件である国内(同法の施行地)における住所を有していたということはできない。 (補足意見がある。)
香港に赴任しつつ国内にも相応の日数滞在していた者が,国外財産の贈与を受けた時において,相続税法(平成15年法律第8号による改正前のもの)1条の2第1号所定の贈与税の課税要件である国内(同法の施行地)における住所を有していたとはいえないとされた事例
相続税法(平成15年法律第8号による改正前のもの)1条の2,相続税法(平成15年法律第8号による改正前のもの)2条の2,民法22条
判旨
相続税法上の「住所」とは、客観的な生活の本拠、すなわち個人の全生活の中心を指し、たとえ贈与税回避の主観的目的があっても、客観的な生活の実体に基づいて判断されるべきである。
問題の所在(論点)
相続税法(平成15年改正前)1条の2第1号にいう「住所」の意義、および贈与税回避目的で滞在日数を調整していた場合に、客観的な滞在実態を差し置いて国内に住所があると認定できるか。
規範
相続税法における「住所」とは、反対の解釈をすべき特段の事由がない限り、民法上の概念と同様に、生活の本拠、すなわちその者の生活に最も関係の深い一般的生活、全生活の中心を指す。そして、一定の場所が住所にあたるか否かは、客観的に生活の本拠たる実体を具備しているか否かにより決すべきである。主観的に贈与税回避の目的があったとしても、それにより客観的な生活の実体が消滅するものではない。
事件番号: 平成20(行ヒ)241 / 裁判年月日: 平成22年7月16日 / 結論: 破棄自判
社団たる医療法人の定款に,出資した社員が退社時に受ける払戻し及び当該法人の解散時の残余財産分配はいずれも当該法人の一部の財産についてのみすることができる旨の定めがある場合において,当該定款には上記定めの変更を禁止する旨の条項があるものの,法令において定款の再度変更を禁止する定めがなく,上記一部の財産の範囲に係る当該定款…
重要事実
上告人は、消費者金融大手C社の創業者Aの長男であり、後継者と目されていた。Aは贈与税回避の教示を受け、上告人を香港駐在役員として出国させた。上告人は約3年半の期間(本件期間)のうち約65.8%を香港で過ごし、サービスアパートメントを拠点に現地業務に従事した。他方、国内滞在分(約26.2%)は実家に居住し、C社の取締役会等に出席していた。上告人の資産の大部分(約1000億円超の株式等)は国内にあった。Aらはオランダ法人を介してC社株式を上告人に贈与したが、当時の法制では受贈者が国外居住であれば非課税であったため、税務署は上告人の住所は国内にあるとして課税処分を行った。
あてはめ
上告人は本件期間の約3分2を香港で過ごし、2年単位で契約した居宅を拠点に現地の役員業務に従事しており、これが実体のない仮装のものとはうかがわれない。国内滞在は期間の約4分の1にすぎず、取締役会出席等の業務に従事していたにとどまる。原審は贈与税回避目的による滞在日数の調整を重視したが、住所の判定は客観的な生活実体によるべきであり、主観的目的によって客観的事実(香港滞在が国内の約2.5倍に及ぶこと等)を否定することはできない。国内の実家での起居や役員としての地位、資産の所在等の事情も、この滞在日数の格差を覆して国内を生活の本拠と認めるに足りる根拠とはならない。
結論
上告人は贈与を受けた当時、国内に住所を有していたとはいえず、納税義務を負わない。したがって、本件各処分は違法であり、取り消されるべきである。
実務上の射程
租税法律主義の観点から、条文上の概念(住所)を解釈するにあたって、納税者の不当な意図(租税回避目的)を理由に概念を拡張したり、事実認定を歪めることは許されないという厳格な態度を示した。実務上は、客観的な滞在日数や生活実態が先行し、主観的意図は住所の認定を左右しない限定的な要素となる。なお、本判決後の立法(5年超の国外居住要件等)により、同様のスキームによる回避は現在封じられている。
事件番号: 昭和51(行ツ)99 / 裁判年月日: 昭和52年2月17日 / 結論: 棄却
行政事件訴訟法一四条四項により出訴期間の計算をする場合には、「裁決があつたことを知つた日又は裁決の日」を期間に算入すべきである。
事件番号: 昭和37(オ)1007 / 裁判年月日: 昭和38年12月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政規則である通達は、行政組織内部での指揮であって国民を拘束する法令ではないため、通達に反する処分であっても直ちに違法とはならず、相続税法9条に基づく課税処分は租税法律主義に反しない。 第1 事案の概要:上告人らは特定の取引により利益を得たが、これに対し税務当局は相続税法9条(贈与擬制)を適用し、…
事件番号: 昭和41(行ツ)8 / 裁判年月日: 昭和43年10月31日 / 結論: 棄却
旧所得税法(昭和二二年法律第二七号)第五条の二の規定は、資産の値上りによりその資産の所有者に帰属する増加益を所得とし、それを右資産の他への移転の時期において課税の対象とするのを相当と認め、それが対価を伴わずに移転される場合にもいわゆる譲渡所得に準じて取り扱うべきものとしたのであつて、所得のないところに課税所得の存在を擬…
事件番号: 平成17(行ヒ)91 / 裁判年月日: 平成19年1月23日 / 結論: その他
被相続人の居住の用に供されていたが土地区画整理事業における仮換地の指定に伴い相続開始の直前には更地となっていた土地につき,(1)仮換地の指定がされ上記土地及びその仮換地の使用収益が共に禁止されたことにより,被相続人が仮設住宅への転居及び上記土地上の居宅の取壊しを余儀なくされたこと,(2)その後,上記仮換地について使用収…