会社の増資引受によつて得た利益が相続税法第九条にいう贈与によつて取得した利益とみなされた事例。
判旨
行政規則である通達は、行政組織内部での指揮であって国民を拘束する法令ではないため、通達に反する処分であっても直ちに違法とはならず、相続税法9条に基づく課税処分は租税法律主義に反しない。
問題の所在(論点)
1. 国税庁長官の基本通達(行政規則)は、国民を拘束する法令としての性質を有するか。2. 通達の内容と異なる課税処分を行うことは、租税法律主義に違反するか。
規範
1. 国税庁長官の通達は、下級行政機関の権限行使についての指揮であり、国民に対し効力を有する法令ではない。2. 課税処分の適否は、通達の有無にかかわらず、根拠となる租税法(本件では相続税法9条)の解釈問題として決せられるべきであり、同条に基づき納税義務が認められる限り、当該処分は法律に基づくものであって憲法30条・84条に違反しない。
重要事実
上告人らは特定の取引により利益を得たが、これに対し税務当局は相続税法9条(贈与擬制)を適用し、贈与税の課税処分を行った。これに対し上告人らは、当該処分が国税庁長官の基本通達の内容と抵触するものであり、通達は法源性を有するか、あるいは「事実たる慣習」として機能すべきであると主張。また、通達に反する課税は租税法律主義を定めた憲法30条、84条に違反すると主張して争った。
あてはめ
1. 基本通達は行政組織内部の指示に過ぎず、法規(法令)ではない。したがって、通達に違反したとしても、それ自体が民事訴訟法上の法令違背にあたることはない。2. 本件において上告人らが得た利益は、相続税法9条が規定する「贈与によって取得したものとみなされる」要件を充たしていると解される。3. 処分が法律(相続税法)の正しい解釈に基づいている以上、行政内部の指針である通達と抵触していたとしても、その処分は「法律に基づく課税」であり、租税法律主義には反しない。上告人の「通達が事実たる慣習である」との主張も、原審で認められた事実がなく、採用できない。
事件番号: 昭和25(オ)440 / 裁判年月日: 昭和27年8月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】昭和22年法律第87号相続税法の下では、相続税と贈与税は厳格に区別されており、相続税に関する延納規定を贈与税に適用することはできない。したがって、贈与税についてなされた延納許可を取り消す処分は適法である。 第1 事案の概要:上告人は、昭和22年法律第87号相続税法に基づき、贈与税の納付について相続…
結論
通達に法規としての効力はなく、法律の規定に基づきなされた課税処分は適法である。したがって、本件上告は棄却される。
実務上の射程
行政法における「通達の法源性」の否定を端的に示した重要判例である。司法試験においては、行政の自己拘束の原則や信頼保護の法理が問題となる場面で、まず原則論として「通達に法規性はない」と述べる際の根拠として用いる。ただし、平等原則(憲法14条)等を通じ、通達と異なる処分が違法となり得る余地については、本判決の射程外として別途検討を要する。
事件番号: 昭和33(オ)311 / 裁判年月日: 昭和38年10月29日 / 結論: その他
一、(省略) 二、附帯上告が上告理由と独立した別個の理由に基づくものである場合には、上告理由書提出期限内に原裁判所に附帯上告状を提出しなければならない。
事件番号: 平成20(行ヒ)139 / 裁判年月日: 平成23年2月18日 / 結論: 破棄自判
香港に赴任しつつ国内にも相応の日数滞在していた者が国外財産の贈与を受けた場合において,当該贈与を受けたのが上記赴任の開始から約2年半後のことであり,通算約3年半にわたる赴任期間中の約3分の2の日数を香港の居宅に滞在して過ごし,その間に現地での業務に従事していたなど判示の事実関係の下では,上記期間中の約4分の1の日数を国…
事件番号: 昭和27(オ)6 / 裁判年月日: 昭和33年5月29日 / 結論: 棄却
同族会社たる甲株式会社が、乙株式会社の全株式を買収した後乙会社を合併しついで増資した場合に、右買収代金が乙会社の払込済資本金額と積立金額の合計額を超えていても、それだけで、旧法人税法(昭和一五年法律第二五号)第二八条によつて、右超過金額を合併交付金と認定して課税することは違法である
事件番号: 昭和44(行ツ)22 / 裁判年月日: 昭和49年5月30日 / 結論: 棄却
旧法人税法(昭和二二年法律第二八号)一三条一項二号は、法人が合併した場合の清算所得中には、合併の場合に合併法人が納付する被合併法人の清算所得に対する法人税額、その法人税額に係る道府県民税額及び市町村民税額並びに清算所得に対する事業税額に相当する金額を含む趣旨を定めたものと解すべきである。