判旨
昭和22年法律第87号相続税法の下では、相続税と贈与税は厳格に区別されており、相続税に関する延納規定を贈与税に適用することはできない。したがって、贈与税についてなされた延納許可を取り消す処分は適法である。
問題の所在(論点)
昭和22年法律第87号相続税法において、相続税に関する延納の規定(同法51条等)を、贈与税に対しても適用または準用することができるか。相続税と贈与税の性質の差異と法制度上の区別の有無が問題となる。
規範
租税法規の解釈にあたっては、法文の形式的・論理的構造を重視すべきである。具体的には、特定の税目(相続税)に関する規定を、性質や納税義務者の異なる他の税目(贈与税)に当然に類推適用することは、法が両者を別個の制度として厳格に区別している場合には許されない。
重要事実
上告人は、昭和22年法律第87号相続税法に基づき、贈与税の納付について相続税法51条の準用を前提とした延納の許可を受けた。しかし、被告(税務署長)は、同法において贈与税には延納の規定がないとして、当該延納許可を取り消した。上告人は、明治期の旧法や後の昭和25年改正法では贈与税の延納が認められていることを根拠に、本件当時も相続税の延納規定が贈与税に適用されるべきであると主張して、取消処分の無効を訴えた。
あてはめ
本件に適用される昭和22年相続税法は、明治38年法や後の昭和25年法とは異なり、相続税と贈与税を厳格に区別している。第一に、納税義務者について、他法では受贈者であるのに対し、本法では贈与者とされている。第二に、法文上も相続税と贈与税は性質を異にするものとして別個に規定されている。このように法が両税を峻別している以上、相続税についての延納規定を贈与税に適用する余地はないと解される。したがって、贈与税について延納を認める法的根拠は存在しない。
結論
贈与税について相続税の延納規定は適用されない。ゆえに、被告税務署長がなした延納許可の取消処分は正当であり、上告を棄却する。
事件番号: 昭和37(オ)1007 / 裁判年月日: 昭和38年12月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政規則である通達は、行政組織内部での指揮であって国民を拘束する法令ではないため、通達に反する処分であっても直ちに違法とはならず、相続税法9条に基づく課税処分は租税法律主義に反しない。 第1 事案の概要:上告人らは特定の取引により利益を得たが、これに対し税務当局は相続税法9条(贈与擬制)を適用し、…
実務上の射程
租税法律主義の観点から、法が明文で定めていない特典(延納等)を、他税目の規定の流用や類推によって認めることはできないという解釈指針を示すものである。現行法においても、税目間の準用規定の有無を厳格に判断する際の基礎となる判例である。
事件番号: 昭和39(行ツ)75 / 裁判年月日: 昭和42年2月24日 / 結論: 棄却
贈与税課税権の消滅時効の起算日は、贈与によつて財産を取得した年の翌年の三月一日であると解するのが相当である。
事件番号: 昭和51(行ツ)99 / 裁判年月日: 昭和52年2月17日 / 結論: 棄却
行政事件訴訟法一四条四項により出訴期間の計算をする場合には、「裁決があつたことを知つた日又は裁決の日」を期間に算入すべきである。
事件番号: 平成20(行ヒ)139 / 裁判年月日: 平成23年2月18日 / 結論: 破棄自判
香港に赴任しつつ国内にも相応の日数滞在していた者が国外財産の贈与を受けた場合において,当該贈与を受けたのが上記赴任の開始から約2年半後のことであり,通算約3年半にわたる赴任期間中の約3分の2の日数を香港の居宅に滞在して過ごし,その間に現地での業務に従事していたなど判示の事実関係の下では,上記期間中の約4分の1の日数を国…
事件番号: 昭和60(行ツ)125 / 裁判年月日: 昭和62年10月30日 / 結論: 破棄差戻
租税法規に適合する課税処分について信義則の法理の適用による違法を考え得るのは、納税者間の平等公平という要請を犠牲にしてもなお当該課税処分に係る課税を免れしめて納税者の信頼を保護しなければ正義に反するといえるような特別の事情が存する場合でなければならず、右特別の事情が存するかどうかの判断に当たつては、少なくとも、税務官庁…