放送番組等の複製物を取得することを可能にするサービスにおいて,サービスを提供する者が,その管理,支配下において,テレビアンテナで受信した放送を複製の機能を有する機器に入力していて,当該機器に録画の指示がされると放送番組等の複製が自動的に行われる場合,その録画の指示を当該サービスの利用者がするものであっても,当該サービスを提供する者はその複製の主体と解すべきである。 (補足意見がある。)
放送番組等の複製物を取得することを可能にするサービスの提供者が複製の主体と解される場合
著作権法21条,著作権法98条
判旨
放送番組等の複製サービスにおいて、サービス提供者がその管理・支配下で複製機器に放送を入力し、利用者の指示により自動録画が行われる場合、サービス提供者は単なる環境整備を超えた枢要な行為を行っているとして、複製の主体と認められる。
問題の所在(論点)
著作権法21条等の「複製」の主体をいかに決定すべきか。特に、利用者の指示により自動的に録画が行われるサービスにおいて、サービス提供者が複製の主体となり得るかが問題となる。
規範
複製の主体の判断に当たっては、複製の対象、方法、複製への関与の内容、程度等の諸要素を考慮して、誰が当該著作物の複製をしているといえるかを判断すべきである。具体的には、サービス提供者が、その管理・支配下において、放送を受信して複製機器に情報を入力するという複製の実現における枢要な行為をしており、提供者の行為がなければ利用者が録画の指示をしても複製がおよそ不可能な場合には、サービス提供者を複製の主体と解するのが相当である。
重要事実
被上告人は、インターネット経由で録画・視聴ができる機器「ロクラクⅡ」を販売・貸与するサービスを提供していた。利用者が子機から録画指示を出すと、遠隔地に設置された親機(放送番組を入力済みのもの)が自動的にデジタルデータ化して録画する仕組みであった。原審は、録画指示が利用者によるものであること等を理由に、被上告人は複製を容易にする環境を提供しているにすぎず複製の主体ではないと判断したが、親機が被上告人の管理・支配下にあるか等の事実関係を十分に認定していなかった。
事件番号: 平成21(受)653 / 裁判年月日: 平成23年1月18日 / 結論: 破棄差戻
1 公衆の用に供されている電気通信回線に接続することにより,当該装置に入力される情報を受信者からの求めに応じ自動的に送信する機能を有する装置は,あらかじめ設定された単一の機器宛てに送信する機能しか有しない場合であっても,当該装置を用いて行われる送信が自動公衆送信であるといえるときは,自動公衆送信装置に当たる。 2 公衆…
あてはめ
本件サービスでは、親機がサービス提供者(被上告人)の管理・支配下に置かれているならば、提供者がテレビアンテナで受信した放送を複製機器に入力するという、複製実現のための「枢要な行為」を担っているといえる。利用者の録画指示はトリガーにすぎず、提供者による放送情報の入力がなければ複製は物理的に不可能である。したがって、単なる環境整備の枠を超え、提供者自身が複製を行っていると評価する余地がある。この判断において、管理・支配の有無は極めて重要な要素となる。
結論
複製の主体の判断にあたっては枢要な行為を誰が行っているかを重視すべきであり、親機の管理状況を認定せずに提供者の主体性を否定した原審の判断には法令違反があるとして、破棄差戻しとした。
実務上の射程
いわゆる「カラオケ法理」を土台としつつ、デジタル技術を用いたサービスにおける「規範的利用主体」の判断基準を、管理支配・利益帰属の二要素に固執せず、「枢要な行為」の有無という観点から洗練させたもの。答案では、物理的な実行者(利用者)と法的主体(業者)が分離する場合の判断枠組みとして、管理支配の有無と行為の枢要性を中心に論じる際に用いる。
事件番号: 平成12(受)222 / 裁判年月日: 平成13年3月2日 / 結論: その他
カラオケ装置のリース業者は,カラオケ装置のリース契約を締結した場合において,当該装置が専ら音楽著作物を上映し又は演奏して公衆に直接見せ又は聞かせるために使用されるものであるときは,リース契約の相手方に対し,当該音楽著作物の著作権者との間で著作物使用許諾契約を締結すべきことを告知するだけでなく,上記相手方が当該著作権者と…
事件番号: 昭和59(オ)1204 / 裁判年月日: 昭和63年3月15日 / 結論: その他
スナック等の経営者が、カラオケ装置と音楽著作物たる楽曲の録音されたカラオケテープとを備え置き、客に歌唱を勧め、客の選択した曲目のカラオケテープの再生による伴奏により他の客の面前で歌唱させるなどし、もつて店の雰囲気作りをし、客の来集を図つて利益をあげることを意図しているときは、右経営者は、当該音楽著作物の著作権者の許諾を…
事件番号: 平成21(受)602 / 裁判年月日: 平成23年12月8日 / 結論: その他
1 我が国について既に効力を生じている文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約に我が国が国家として承認していない国が事後に加入した場合において,我が国が同国との間で同条約に基づく権利義務は発生しないという立場を採っているときは,同国の国民の著作物である映画は,同国が上記条約に加入したことによって,著作権法6条3号…
事件番号: 平成22(受)1884 / 裁判年月日: 平成24年1月17日 / 結論: 破棄差戻
旧著作権法(昭和45年法律第48号による改正前のもの)の下において映画製作会社の名義で興行された独創性を有する映画の著作物につき,監督を担当した者が著作者の一人であり,著作者の死亡の時点を基準に著作権の存続期間を定める同法3条が適用される結果著作権が存続している場合において,次の(1),(2)など判示の事情の下では,著…