1 弁護士である破産管財人は,所得税法204条1項2号の規定に基づき,自らの報酬の支払の際にその報酬について所得税を徴収し,これを国に納付する義務を負う。 2 弁護士である破産管財人の報酬に係る源泉所得税の債権は,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)47条2号ただし書にいう「破産財団ニ関シテ生シタル」請求権に当たる。 3 破産管財人は,破産債権である所得税法199条所定の退職手当等の債権に対する配当の際にその退職手当等について所得税を徴収し,これを国に納付する義務を負うものではない。
1 弁護士である破産管財人は,自らの報酬の支払について,所得税法204条1項2号所定の源泉徴収義務を負うか 2 弁護士である破産管財人の報酬に係る源泉所得税の債権は,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)47条2号ただし書にいう「破産財団ニ関シテ生シタル」請求権に当たるか 3 破産管財人は,破産債権である所得税法199条所定の退職手当等の債権に対する配当について,同条所定の源泉徴収義務を負うか
(1〜3につき)所得税法6条 (1,2につき)所得税法204条1項2号,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)166条,破産法87条1項 (2につき)旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)47条2号,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)47条3号,破産法148条1項2号 (3につき)所得税法30条1項,所得税法199条,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)256条,破産法193条1項
判旨
弁護士である破産管財人は自己の報酬の支払に関し所得税の源泉徴収義務を負い、その納税義務は財団債権に当たる。他方、破産債権である元従業員らの退職金債権への配当については、管財人は所得税法上の「支払をする者」に該当せず、源泉徴収義務を負わない。
問題の所在(論点)
破産管財人は、(1)自己の報酬の支払、および(2)破産債権である退職金債権への配当について、所得税法上の源泉徴収義務を負う「支払をする者」に該当するか。また、その納税義務は財団債権となるか。
規範
所得税法が「支払をする者」に源泉徴収義務を課す趣旨は、支払者が受給者と特に密接な関係にあり、徴税上の便宜・能率が高い点にある。破産管財人の報酬は、管財人が自ら行った業務の対価として破産財団から自ら支払うものであるから、管財人は「支払をする者」に当たり、その納税義務は破産財団に関し生じたものとして財団債権(旧破産法47条2号但書)に当たる。一方、退職手当等の配当については、管財人は破産宣告前の雇用関係に直接関与せず受給者と密接な関係にないため、「支払をする者」に含まれず、源泉徴収義務を負わない。
重要事実
弁護士である破産管財人が、(1)裁判所の決定に基づき自己の報酬を破産財団から支払った。また、(2)破産会社の元従業員らに対し、破産債権である退職金債権の配当を行った。税務署長は、(1)につき所得税法204条1項2号、(2)につき同法199条の規定が適用されるとして、源泉所得税の納税告知等を行った。管財人は、これらの納税義務が存在しないことの確認等を求めて提訴した。
あてはめ
(1)報酬について:破産管財人は、破産財団を責任財産として自ら報酬を支払う主体であり、徴税の便宜も有するため「支払をする者」に当たる。この納税義務は財団の管理上当然に支出を要する経費であり、破産債権者の共益的支出として「破産財団に関して生じたもの」といえる。(2)退職金配当について:管財人は破産者から独立した地位にあり、破産宣告前の雇用関係に基づく退職金支払に関し、使用者と同様の密接な関係があるとはいえない。また、破産者の源泉徴収義務者としての地位を当然に承継する法令上の根拠も存在しないため、「支払をする者」には当たらない。
結論
管財人は自己の報酬については源泉徴収義務を負い、その債権は財団債権となるが、元従業員への退職金の配当については源泉徴収義務を負わない。
実務上の射程
破産手続における源泉徴収義務の範囲を画定した重要な判例である。管財人が自ら管理処分権に基づき「支払の主体」となる場面と、単に「破産債権の配当」を行う場面を区別しており、実務上、後者については源泉徴収を要しないことを明確に示したものとして活用できる。
事件番号: 昭和40(オ)1467 / 裁判年月日: 昭和45年10月30日 / 結論: その他
破産手続において破産財団が財団債権を弁済するに不定する場合、破産管財人の報酬は、財団債権である国税その他の公課に優先して弁済を受けることができる。
事件番号: 平成11(行ヒ)44 / 裁判年月日: 平成16年6月24日 / 結論: 棄却
米国に製品を輸出していた内国法人と米国において同種製品の製造技術につき特許権を有する外国法人との間で締結された和解契約の目的が,両法人間の上記特許権に関する紛争を解決して上記製品の米国への輸出を可能にすることにあり,その内容が,外国法人が内国法人及びその関連会社に対し,米国内における上記製品の販売等について一定の限度で…