破産手続において破産財団が財団債権を弁済するに不定する場合、破産管財人の報酬は、財団債権である国税その他の公課に優先して弁済を受けることができる。
破産管財人の報酬と財団債権である国税その他の公課との優劣
破産法47条,破産法51条
判旨
破産管財人の報酬は共益費用として国税等の公課に優先し、財団不足時でも按分弁済の対象外となる。管財人が正当な理由なく租税債権への弁済を怠り破産手続を終結させた場合、善管注意義務違反による損害賠償責任を負う。
問題の所在(論点)
1. 破産管財人の報酬は、国税等の公課に対して優先するか。2. 財団不足の場合、管財人の報酬も他の財団債権と共に按分弁済の対象となるか。3. 交付要求された租税債権を弁済せず手続を終結させた管財人の責任の有無。
規範
1. 破産管財人の報酬は「破産財団の管理、換価及び配当に関する費用」であり、共益費用として国税その他の公課に当然に優先する。これは、財団不足により按分弁済(破産法149条、旧51条)を行う場合であっても、共益費用の性質上変わらない。2. 破産管財人は、交付要求を受けた債権につき、客観的に存在を疑うべき相当な理由がない限り、これを弁済から除外してはならず、これを怠れば善管注意義務違反を構成する。
重要事実
破産管財人(上告人)は、税務署長から租税債権の交付要求を受けたが、当時の帳簿に記載がなく、配当原資が不足することを懸念し、係官に対し減額を申し入れた。しかし同意を得られないまま、当該債権の存否を十分に調査せず、弁済を行わないまま破産手続を終結させた。国(被上告人)は、管財人の過失により弁済を受けられなかったとして、損害賠償を求めた。原審は報酬と租税債権を同順位の按分対象としたため、上告人がその優先順位を争った。
あてはめ
1. 報酬は破産手続の遂行に不可欠な共益費用であり、公課に優先すべきことは法理上自明である。旧破産法51条(現149条)の按分規定も、この優先関係を否定するものではない。2. 本件では、管財人が引き継いだ書類に債権の存在を示す記載があったにもかかわらず、存否の確認を怠った。税務署側が立証資料を提示しなかったとしても、管財人として注意を尽くしたとはいえず、善管注意義務違反が認められる。3. 損害額の算定にあたっては、財団からまず最優先の報酬(3万円)を控除し、残余の財団財産を本件租税債権および他の按分対象債権の額に応じて按分すべきである。
結論
破産管財人の報酬は租税債権に優先する。管財人は、報酬を控除した後の残余財産から租税債権が按分弁済されるべきであった額(9万8956円)につき、善管注意義務違反に基づく賠償責任を負う。
実務上の射程
財団債権間の優先順位に関する重要判例である。特に「管財人の報酬」が他の財団債権(国税等)に先んじて控除されるべき共益費用であることを明示しており、実務上の配当計算や、管財人の責任追及場面における損害額算定の基礎となる。
事件番号: 昭和33(オ)377 / 裁判年月日: 昭和37年3月22日 / 結論: 棄却
執行吏が過失により有体動産の差押につき作成すべき調書に差押物の評価額を記載しなかつたことによつて債務者に損害を生じた場合には国家賠償の責任が成立する。
事件番号: 平成20(行ツ)236 / 裁判年月日: 平成23年1月14日 / 結論: その他
1 弁護士である破産管財人は,所得税法204条1項2号の規定に基づき,自らの報酬の支払の際にその報酬について所得税を徴収し,これを国に納付する義務を負う。 2 弁護士である破産管財人の報酬に係る源泉所得税の債権は,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)47条2号ただし書にいう「破産財団ニ関シテ生シタル」請…